行政事件訴訟法とは?制定の経緯と一般法としての意義を解説

行政庁の処分などをめぐる紛争を、裁判でどのように解決するかを定めている法律が行政事件訴訟法です。行政庁による公権力の行使や、国・地方公共団体との公法上の法律関係に関する訴訟について、基本的な手続や類型を定めています。

行政事件訴訟法は、行政訴訟に共通するルールを定める一般法でもあります。ここでは、行政事件訴訟法の概要、制定の経緯、一般法としての意味を解説します。

行政事件訴訟法とは

行政事件訴訟法の基本的な意味

行政事件訴訟法2条は、行政事件訴訟を次の4種類に分けています。

  • 抗告訴訟
  • 当事者訴訟
  • 民衆訴訟
  • 機関訴訟

抗告訴訟は、行政庁の公権力の行使に関する不服を争う訴訟です。当事者訴訟は、国や地方公共団体などとの公法上の法律関係を対象とします。民衆訴訟と機関訴訟は、行政作用の適法性や行政機関相互の権限などを問題とする訴訟です。

主観訴訟と客観訴訟

抗告訴訟と当事者訴訟は、個人の権利利益を守ることを目的とするため、主観訴訟と呼ばれます。これに対し、民衆訴訟と機関訴訟は、行政の適法性や機関間の権限を確保するための客観訴訟です。

主観訴訟は、当事者間の具体的な権利義務や法律関係をめぐる「法律上の争訟」に当たります。一方、客観訴訟は個人の具体的な権利利益を直接の目的としないため、法律上の争訟には当たりません。そのため、客観訴訟は、法律に特別な定めがある場合に限って提起できます(42条)。

行政事件訴訟法が制定された経緯

行政事件訴訟特例法から行政事件訴訟法へ

行政事件訴訟については、昭和23年に行政事件訴訟特例法が制定されました。その後、行政訴訟に関する基本的なルールを整備するため、昭和37年に行政事件訴訟法が制定されました。現在の法律は、行政事件訴訟特例法を経て成立したものです。

平成16年改正の目的

平成16年には、行政訴訟をより利用しやすくし、救済できる範囲を広げるための改正が行われました。この改正では、義務付けの訴えや差止めの訴えが、法律に定められた抗告訴訟として位置づけられています。

行政事件訴訟法が一般法とされる意義

行政事件訴訟に共通する基本ルールを定める法律

行政事件訴訟法1条は、行政事件訴訟について、他の法律に特別な定めがある場合を除き、行政事件訴訟法の定めによると規定しています。この規定により、行政事件訴訟法は行政訴訟の一般法とされています。

したがって、対象となる行政分野の個別法に特別な規定がなければ、原則として行政事件訴訟法のルールが適用されます。

一般法であることの限界

行政事件訴訟法が一般法であっても、個別の法律に特別な定めがある場合は、その規定が優先されます。そのため、行政事件訴訟法だけを確認すれば常に足りるわけではなく、対象となる行政分野の個別法も確認しなければなりません。

また、民衆訴訟や機関訴訟のような客観訴訟は、法律に特別な定めがなければ提起できません。一般法であることと、すべての行政上の争いを無条件に裁判で争えることは、別の問題です。

まとめ

行政事件訴訟法は、行政庁の処分や公法上の法律関係をめぐる紛争を裁判で解決するための基本ルールを定める法律です。昭和23年の行政事件訴訟特例法を経て、昭和37年に制定され、平成16年には救済範囲の拡大や利用しやすさを目的とした改正が行われました。

行政事件訴訟法は、他の法律に特別な定めがない限り適用される行政事件訴訟の一般法です。ただし、個別法の特別規定が優先されるほか、客観訴訟には法律上の根拠が必要となる点に注意しましょう。