外国人にも基本的人権は保障されるのでしょうか。結論として、外国人にも人権の性質上可能な限り、日本国憲法の人権保障が及びます。
ただし、すべての権利が日本国民と同じように認められるわけではありません。入国や在留、国政への参加など、国家の主権や国民主権と深く関係する権利には、保障されないものがあります。
外国人にも基本的人権は保障される
原則は「人権の性質上可能な限り」保障される
日本国憲法には、外国人の人権について直接定めた規定はありません。しかし、基本的人権は、人が人間であることによって生まれながらに持つ権利です。
そのため、外国人にも、権利の性質上認められる範囲で憲法上の人権保障が及ぶと考えられています。つまり、外国人であることだけを理由に、すべての人権が否定されるわけではありません。
在留中の政治活動にも保障が及ぶ場合がある
マクリーン事件では、在留外国人の政治活動の自由について、一定の範囲で憲法上の保障が及ぶと判断されました。ただし、日本の政治的な意思決定やその実施に影響を与える活動など、外国人の地位から見て認めることが相当でないものは除かれます。
また、人権保障が及ぶことと、在留期間の更新や日本に住み続けることが当然に認められることは別問題です。外国人には、憲法上、日本に在留し続ける権利までは保障されていません。
外国人に保障されない主な権利
入国・在留・再入国の自由
外国人には、日本へ入国する自由は憲法上保障されません。外国人を受け入れるかどうかは、国家の主権に関わる事項とされているためです。入国の自由が保障されない以上、日本に在留する自由も保障されません。
再入国の自由も保障されません。日本に在留する外国人には、憲法上、外国へ一時旅行する自由が保障されているものではないとされています。一方、外国人にも出国の自由は認められています。出国できることと、出国後に再入国できることは別なので注意が必要です。
社会権・社会保障上の権利
社会権について、外国人が日本国民と常に同じ扱いを受けるわけではありません。塩見訴訟では、特別の条約がない限り、在留外国人を社会保障上どのように扱うかは、国の政治的判断により決定できるとされました。
そのため、限られた財源の下で福祉的給付を行う場合に、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されるとされています。
参政権と公務就任
国政に参加する参政権は、国民主権との関係から外国人には保障されません。ただし、外国人に地方公共団体の長や議会議員などの選挙権を認める法律を制定することまで、憲法が禁止しているわけではありません。
また、国や地方公共団体の統治に関わる公権力行使等の地方公務員については、日本国籍を有する職員に限って管理職に昇任できることとする措置も、合理的な理由に基づく区別として、憲法に違反しないとされています。
まとめ
外国人にも、人権の性質上可能な限り、日本国憲法上の基本的人権が保障されます。しかし、入国・在留・再入国の自由や国政の参政権などは保障されません。社会権、地方選挙、公務就任についても、権利の性質や法律によって扱いが異なります。
したがって、「外国人には人権が保障されない」のではなく、権利の性質に応じて保障の範囲が決まると理解することが重要です。
