憲法14条1項は、すべて国民が法の下で平等であることを定めています。条文には「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」が差別禁止事由として挙げられていますが、これはすべてを列挙したものではありません。
憲法14条の「差別禁止事由」とは
憲法14条1項が定める内容
憲法14条1項は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定しています。
ここでいう「法の下の平等」は、法律を同じように適用することだけを意味しません。法律の内容自体も、合理的な理由なく人を区別するものであってはならないという意味を含みます。
もっとも、憲法14条が求めるのは、すべての人を一律に扱う絶対的平等ではありません。年齢や能力などの事実上の違いを前提に、合理的な区別を認める相対的平等です。
条文に挙げられた事由は例示であり、限定列挙ではない
「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」は、例示として挙げられたものです。そのため、条文に明記されていない事情による区別でも、不合理な差別であれば憲法14条の問題となり得ます。
ただし、異なる取扱いがあれば直ちに違憲となるわけではありません。憲法14条は、差別すべき合理的な理由のない差別を禁止するものであり、事柄の性質に応じて合理的と認められる差別的取扱いは認められます。
憲法14条に列挙されている5つの差別禁止事由
人種・信条・性別
- 人種:人種を理由とする差別が問題となります。
- 信条:信条を理由とする差別が問題となります。
- 性別:性別を理由とする差別が問題となります。
ただし、制度上の区別があるだけで、直ちに性別による違憲な差別と判断されるわけではありません。たとえば、夫婦同氏制について最高裁判所は、夫婦のどちらの氏を称するかを当事者の協議に委ねており、条文上、性別に基づく法的な差別を定めたものではないと判断しました。
社会的身分
社会的身分とは、人が社会の中で占める継続的な地位をいいます。尊属・卑属、嫡出子・非嫡出子などが問題となった例があります。
一方、最高裁判所は、年齢が高いということだけでは社会的身分には当たらないとしています。ただし、列挙された事由は例示であるため、社会的身分に該当しないことだけを理由に、憲法14条の問題が否定されるわけではありません。
門地
門地も、憲法14条1項に列挙された差別禁止事由の一つです。門地を理由とする区別についても、合理的な理由のない差別であるかどうかが問題となります。
憲法14条に違反する差別かどうかの判断基準
合理的な区別は認められる
憲法14条は、すべての異なる取扱いを禁止しているわけではありません。事柄の性質に応じて合理的と認められる差別的取扱いは、認められることがあります。
反対に、区別の目的に合理的な根拠がない場合や、具体的な区別と目的との間に合理的な関連性がない場合には、合理的な理由のない差別として、憲法14条1項違反が問題となります。
