地方議会議員選挙の定数不均衡とは?投票価値の平等を判例で解説

地方議会議員選挙の「定数不均衡」とは、選挙区ごとの人口と、選出される議員数の割合に大きな差がある状態です。議員1人を選ぶための人口が選挙区によって異なると、住民の1票が選挙結果に与える影響力にも差が生じます。

地方議会議員選挙の定数不均衡とは

地方議会では、選挙区ごとに議員の定数が決められます。人口に対して定数が少ない選挙区では、住民の票は相対的に小さくなります。一方、少ない人口で同じ人数の議員を選ぶ選挙区では、1票の影響力が相対的に大きくなります。

憲法上の選挙権の平等は、選挙権を持てるかどうかだけでなく、投票の価値についても平等であることを求めます。ただし、人口と定数の比率を常に完全に一致させることまで必要とされるわけではありません。

定数を決める基本ルール

地方議会議員の定数は、原則として人口に比例して定めることが基本です。もっとも、地域間の均衡など、特別の事情を考慮する余地はあります。

この例外は、人口比例を無制限に離れてよいという意味ではありません。地域の事情を考慮しても説明できないほど較差が大きく、その状態が長期間続いている場合には、投票価値の平等に反する可能性があります。

東京都議会議員選挙定数不均衡事件

最判昭和59年5月17日

昭和56年の東京都議会議員選挙では、議員1人あたりの人口の最大較差が約1対7.45に達していました。最高裁判所は、地方議会議員選挙でも投票価値の平等が憲法上求められると判断しました。

そして、定数配分では人口と議員定数の比率が最も重要かつ基本的な基準になると示しました。地域間の均衡などを考慮しても、1対7.45という較差は一般的に合理的とはいえない程度に達していたと判断されています。

さらに、較差は以前から存在し、将来的な拡大も予測できたのに、十分な是正がされないまま長期間放置されていました。そのため、定数配分規定は投票価値の平等に反するとされました。

違法でも選挙が直ちに無効になるとは限らない

この判例では、定数配分規定の違法性は認められましたが、事情判決の法理により、その規定に基づく選挙自体は無効とされませんでした。

したがって、定数配分が違法であることと、実施済みの選挙を無効にすることは、別の問題として判断されます。

判例から分かる判断ポイント

  • 選挙区ごとの人口と議員定数にどの程度の較差があるか
  • 地域間の均衡などを踏まえても、その較差を合理化できるか
  • 較差が一時的か、長期間継続しているか
  • 条例改正など、是正の措置が取られたか
  • 問題が生じた後、合理的な期間内に是正されたか

まとめ

地方議会議員選挙の定数不均衡とは、選挙区ごとの人口と議員定数の割合に差があり、住民の1票の価値に不平等が生じることです。人口比例が基本ですが、地域間の均衡を考慮できる場合もあります。

東京都議会議員選挙の判例は、最大約1対7.45の較差が長期間是正されなかったことを重視し、定数配分規定を投票価値の平等に反すると判断しました。ただし、定数配分が違法でも、選挙そのものが直ちに無効になるわけではありません。