告知と聴聞とは、どのような犯罪の嫌疑で訴追されているかを知らされ、自分の言い分を聞いてもらうことです。適正手続の保障に含まれる重要な権利とされています。
告知と聴聞の意味
- 告知:どのような犯罪の嫌疑で訴追されているかを知らされること
- 聴聞:本人が自分の言い分を述べ、弁解や防御の機会を与えられること
告知と聴聞の権利が保障されなければ、手続が適正であるとはいえません。
適正手続との関係
憲法31条は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と定め、適正手続を保障しています。
適正手続の保障には、一般に次の4つの内容が含まれます。
- 手続が法律で定められていること(手続の法定)
- 法律で定められた手続が適正であること(手続の適正)
- 刑罰の実体が法律で定められていること(実体の法定)
- 法律で定められた実体規定が適正であること(実体の適正)
告知と聴聞は、特に手続の適正の内容に含まれます。
憲法31条は直接には刑事手続について定めたものですが、行政手続についても準用されると一般に解されています。ただし、行政手続では、制限を受ける権利利益の内容や程度、達成しようとする公益、緊急性などを総合的に考慮して、事前の告知や弁解・防御の機会を与えるかどうかが決められ、常にその機会が必要となるわけではありません。
第三者所有物没収事件とは
第三者所有物没収事件(最大判昭37・11・28)では、被告人らが密輸出しようとして関税法違反に問われ、犯罪に使用された船舶と貨物を没収されました。その中に第三者の所有物が含まれていたため、第三者に財産権を擁護する機会を与えないまま没収することが憲法31条、29条1項に違反しないかが問題となりました。
最高裁は、第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡されるものである一方、その刑事処分の効果が第三者に及ぶと判断しました。そのため、所有物を没収される第三者にも、告知、弁解、防御の機会を与える必要があるとしました。
そして、これらの機会を与えずに第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらずに財産権を侵害する制裁を科すことになるとして、関税法118条1項による第三者の所有物の没収を憲法31条、29条に違反するとしました。
まとめ
告知と聴聞は、犯罪の嫌疑などを知らされ、本人が弁解や防御をする機会を与えられることです。第三者所有物没収事件は、没収の効果が第三者に及ぶ場合、その第三者にも告知、弁解、防御の機会が必要であることを示した判例です。
