先取特権の順位とは?一般・動産・不動産の優先順位を解説

先取特権とは、法律で定められた一定の債権者が、債務者の財産から他の債権者より先に弁済を受けられる担保物権です(民法303条)。複数の先取特権が同じ財産に及ぶ場合は、先取特権の種類に応じて順位が決まります。

先取特権の順位を決める基本的な考え方

先取特権には、債務者の総財産を対象とする一般の先取特権と、特定の財産を対象とする特別の先取特権があります。特別の先取特権は、さらに動産の先取特権と不動産の先取特権に分かれます(民法306条、311条、325条)。

同じ財産について複数の先取特権が競合したときは、民法が定める順位に従います。一般の先取特権と特別の先取特権が競合する場合は、原則として特別の先取特権が優先します。

一般の先取特権の順位

一般の先取特権が競合する場合の順位は、次のとおりです(民法329条1項)。

順位 先取特権の種類
第1順位 共益費用
第2順位 雇用関係
第3順位 子の監護費用・葬式費用
第4順位 日用品供給

子の監護費用と葬式費用は同順位です。なお、一般の先取特権は総財産を対象としますが、不動産から弁済を受ける場合は、まず不動産以外の財産から弁済を受けなければなりません(民法335条1項)。

一般の先取特権は、不動産について登記することができます。ただし、登記をしていなくても、特別担保を有しない債権者や登記のない第三者に対抗できます(民法336条)。

動産・不動産の先取特権の順位

動産の先取特権

順位 先取特権の種類
第1順位 不動産の賃貸、旅館の宿泊、旅客・荷物の運輸
第2順位 動産の保存
第3順位 動産の売買、種苗・肥料の供給、農業・工業の労務

動産の先取特権は、債務者が目的動産を第三者に引き渡した後は、その動産について行使できません。占有改定による引渡しも含まれます(民法333条)。

不動産の先取特権

順位 先取特権の種類
第1順位 不動産の保存
第2順位 不動産の工事
第3順位 不動産の売買

一般の先取特権・抵当権との優先関係

一般の先取特権と特別の先取特権が同じ目的物に及ぶときは、原則として特別の先取特権が優先します。ただし、財産の保存などに要した共益費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に優先します(民法329条2項)。

また、登記をした不動産保存の先取特権・不動産工事の先取特権は、先順位の抵当権や不動産質権にも優先します。一方、不動産売買の先取特権と抵当権などの順位は、原則として登記の前後で決まります(民法339条、177条)。

まとめ

  • 一般の先取特権は、共益費用、雇用関係、子の監護費用・葬式費用、日用品供給の順です。
  • 動産は、賃貸・宿泊・運輸、動産保存、動産売買などの順です。
  • 不動産は、不動産保存、不動産工事、不動産売買の順です。
  • 一般の先取特権と特別の先取特権では、原則として特別の先取特権が優先します。