競売の契約不適合責任とは?買受人が請求できる内容を解説

競売物件に問題が見つかった場合でも、通常の売買と同じように、あらゆる不具合について契約不適合責任を追及できるわけではありません。民法568条は、競売における買受人の救済を、数量や権利に関する不適合に限定しています。

競売における契約不適合責任とは

競売では数量・権利の不適合が対象になる

競売は、通常の売買のように、売主と買主が合意して契約を結ぶ取引とは異なります。そのため、民法568条は、競売で買い受けた目的物について一定の不適合があった場合に、買受人が債務者や債権者に請求できる特別なルールを定めています。

対象となるのは、たとえば次のようなケースです。

  • 売却の前提とされた土地の面積などが実際の数量と異なる
  • 目的物の所有権など、移転されるはずの権利が存在しない
  • 権利の一部が他人に属しており、その部分が買受人に移転しない

つまり、競売で取得できる数量や権利が、売却の内容と一致していない場合が中心となります。

種類・品質の不適合は請求できない

一方、建物の雨漏り、老朽化、設備の故障など、物件の種類や品質に関する不具合については、競売の契約不適合責任を請求できません。

通常の売買では、種類・品質・数量の不適合について、追完請求や代金減額請求などが認められることがあります。しかし、競売ではそのすべてが適用されるわけではない点に注意が必要です。

買受人が請求できる内容

契約の解除を請求できる

数量または権利に不適合がある場合、買受人は契約の解除を請求できます。解除が認められれば、競売による買受けを解消し、支払った代金の返還を求めることにつながります。

代金の減額を請求できる

買受人が物件を利用し続ける場合には、不適合の程度に応じた代金減額を請求できます。たとえば、取得できる土地の一部が不足している場合、その不足分を考慮して代金を調整するイメージです。解除と減額のどちらを請求するかは、不適合の内容を踏まえて検討します。

債務者が無資力の場合は配当を受けた債権者に返還請求できる

解除または代金減額を請求した場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、競売代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部または一部の返還を請求できます。

例外的に損害賠償を請求できる場合

債務者が不存在を知りながら申し出なかった場合

債務者が、物や権利が存在しないことを知っていたにもかかわらず、その事実を申し出なかったときは、買受人は債務者に損害賠償を請求できます。

債権者が不存在を知りながら競売を請求した場合

債権者が、物や権利が存在しないことを知りながら競売を請求した場合も、買受人はその債権者に損害賠償を請求できます。

解除・代金減額と損害賠償の違い

解除や代金減額は、数量・権利の不適合があれば問題となります。これに対し、損害賠償には、債務者や債権者が物や権利の不存在を知っていたなど、法律上の特別な事情が必要です。したがって、競売物件に問題があるだけで、当然に損害賠償まで請求できるわけではありません。

まとめ

  • 競売の契約不適合責任は、数量・権利の不適合が対象
  • 買受人は、契約の解除または代金減額を請求できる
  • 債務者が無資力なら、配当を受けた債権者に返還請求できる場合がある
  • 損害賠償には、物や権利の不存在についての認識などの特別な要件が必要
  • 種類・品質の不具合は、請求の対象外