行政手続法は、行政機関による処分、行政指導、届出、命令等の手続について、公正の確保と透明性の向上を図るための一般的なルールを定めています。
もっとも、すべての行政活動に一律に適用されるわけではありません。別の法律に特別な手続がある場合や、学校・刑事施設などの特殊な関係にある場合には、行政手続法の全部または一部が適用除外となります。
行政手続法の適用除外とは
主な対象となる手続
行政手続法が定める主な手続は、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、届出、命令等を定める手続です。適用除外とは、これらについて行政手続法の一定の規定を適用しないことをいいます。したがって、行政手続法が完全に適用されない場合だけでなく、特定の章や手続だけが除外される場合もあります。
処分・行政指導に関する主な適用除外
次の処分・行政指導については、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、処分等の求めに関する規定が適用されません。
- 国会・裁判所などに関係するもの:国会や議会の議決による処分、裁判または裁判の執行として行われる処分、国会等の同意・承認を経て行う処分、検査官会議の決定や会計検査に伴う行政指導。
- 刑事手続・犯則事件に関するもの:検察官や司法警察職員が刑事事件について行う処分・行政指導、国税・地方税や金融商品取引の犯則事件に関する処分・行政指導。刑事訴訟法や国税通則法など、別の手続が定められているためです。
- 特別な関係にある者に対するもの:学校などで教育・訓練の目的を達成するために行う処分、刑務所・少年院などで収容目的のために行う処分、公務員の職務や身分に関する処分・行政指導。
- 外国人・試験・利害調整に関するもの:出入国、難民認定、補完的保護対象者の認定、帰化に関する処分・行政指導、学識・技能の試験や検定の結果だけを対象とする処分、対立する利害関係者双方を名宛人とする裁定その他の処分、及び行政指導。
- 公益上の対応など:公衆衛生、防疫、環境保全、保安などの公益に関わる現場で警察官等が行う処分・行政指導、報告や物件提出を命じるなど情報収集を直接の目的とする処分・行政指導、不服申立てに対する裁決・決定、聴聞や弁明の機会の付与など意見陳述手続の中で行われる処分・行政指導。
これらは、特別法による手続があること、特殊な内部関係にあること、公益に関わる現場で行われること、または既に別の手続の中で行われることなどを理由に除外されています。
地方公共団体の処分・行政指導
地方公共団体の機関が行う次の事項については、行政手続法の第1章と第7章の規定を除き、同法の規定が適用されません。処分はその根拠となる規定が条例または規則に置かれているもの、届出は通知の根拠となる規定が条例または規則に置かれているものに限られます。一方、行政指導と命令等を定める行為は、根拠が法令にある場合も適用除外です。
ただし、地方公共団体には、行政手続法の趣旨に沿って公正・透明な手続を整える努力義務があります。そのため、各自治体の行政手続条例で、これらの手続のルールが定められています。
行政機関同士の行為
行政機関相互間の処分、行政指導、届出も、原則として行政手続法の適用対象外です。ただし、処分については、行政機関や団体が一般私人にはない固有の資格で名宛人となる場合に限られます。つまり、国民に直接向けた行政作用ではなく、行政機関同士の関係を調整する行為は、通常の行政手続法の対象から外れると整理できます。
