取消訴訟では、行政庁が行った処分や裁決が適法だったかどうかを、裁判所が審理します。
行政事件訴訟法23条の2は、取消訴訟について、行政庁が保有する資料の提出を裁判所が求めることができる「釈明処分の特則」を定めています。
取消訴訟における釈明処分とは
釈明処分の意味
釈明処分とは、裁判所が訴訟関係を明瞭にするため、当事者が所持する訴訟書類や文書などの提出を求める手続です。
取消訴訟では、裁判所は、被告となっている国または公共団体に所属する行政庁に対し、処分または裁決の内容や、その理由を明らかにする資料であって、当該行政庁が保有するものの全部または一部の提出を求めることができます。
釈明権との違い
釈明権は、裁判長が当事者に質問したり、必要な立証を促したりする権限です。一方、釈明処分は、裁判所が訴訟関係を明らかにするため、文書などの提出を求める仕組みです。
民事訴訟法上の釈明処分では、訴訟書類以外については、訴訟において引用した文書その他の物件に対象が限定されています。これに対し、取消訴訟の特則では、行政庁が保有する処分・裁決の理由に関する資料まで対象が広げられています。
行政事件訴訟法23条の2による特則
裁判所は、次の事項を明らかにするために必要な資料について、被告となっている国または公共団体に所属する行政庁に提出を求めることができます。
- 処分または裁決の内容
- 処分または裁決の根拠となる法令の条項
- 処分または裁決の原因となる事実
- その他、処分または裁決の理由
提出を求めることができるのは、上記の事項を明らかにする資料であって、当該行政庁が保有するものの全部または一部です。
職権証拠調べとの関係
取消訴訟では、当事者が提出した証拠だけでは十分な心証を得られない場合、裁判所が職権で証拠調べをすることも認められています。
もっとも、取消訴訟の審理では、職権証拠調べが行われることはほとんどなく、民事訴訟法上の釈明権の行使によることとされていました。釈明処分の特則は、こうした資料の提出を求める対象を取消訴訟について拡大・明確化するものです。
