建築確認に誤りがあり、その結果として私人に損害が生じた場合、国や地方公共団体に国家賠償責任が認められる可能性があります。
もっとも、建築確認が建築基準関係規定に適合していなかったというだけで、当然に賠償責任が認められるわけではありません。建築主事が職務上通常払うべき注意を怠ったか、また損害が建築確認に起因するかが問題となります。
違法な建築確認には国家賠償法1条が適用される
国家賠償責任が成立する基本的な要件
国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が賠償責任を負うと定めています。
建築確認については、主に次の点が問題になります。
- 建築確認が公権力の行使に当たること
- 建築主事が職務を行うについて確認をしたこと
- 建築確認が国家賠償法1条1項の適用上違法であること
- 建築主事に故意又は過失があること
- 損害が発生し、建築確認に起因すること
賠償するのは原則として国や公共団体
国家賠償法1条1項では、違法な確認を行った公務員個人ではなく、原則として国又は公共団体が賠償責任を負います。
建築確認が国家賠償法上違法になるのはどのような場合か
建築基準関係規定への不適合を見落とした場合
最高裁判所は、建築士の設計に係る建築物の計画について、計画の内容が建築基準関係規定に明示的に定められた要件に適合せず、申請書類の記載事項における誤りが明らかで、他の記載内容や資料と符合するかを当然に照合すべきであったにもかかわらず照合されなかったなど、建築主事が職務上通常払うべき注意をもって申請書類の記載を確認していれば不適合を発見できたのに、その注意を怠って漫然と不適合を看過して確認を行った場合、国家賠償法1条1項の適用上違法となると判断しています(最判平成25年3月26日)。
したがって、建築基準関係規定への不適合があったというだけで、直ちに国家賠償責任が成立するわけではありません。申請書類の記載や資料を確認すれば不適合を発見できたにもかかわらず、通常払うべき注意を怠って見落としたことが必要です。
「建築確認の不適合」と「国家賠償法上の違法」は同じではない
建築物の計画が建築基準関係規定に適合していなかったことと、国家賠償法1条1項の適用上違法となることは別の問題です。国家賠償責任が認められるには、建築主事が職務上通常払うべき注意を怠って不適合を看過したと認められる必要があります。
指定確認検査機関が建築確認をした場合の責任
民間の指定確認検査機関による建築確認も国家賠償法の対象となり得る
建築主事と同様の建築確認を行う指定確認検査機関の確認処分も、公権力の行使に当たり得ます。
責任を負うのは建築主事が置かれた地方公共団体
指定確認検査機関が行った確認処分に起因して私人に損害が生じた場合、その確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体が、国家賠償責任を負うとされています(最判平成17年6月24日)。
違法な建築確認で損害賠償を請求できるか判断するポイント
確認の違法性・過失・損害との関係を確認する
- 建築計画が建築基準関係規定に適合していなかったか
- 申請書類の記載の誤りが明らかだったか
- 他の記載内容や資料と照合すれば不適合を発見できたか
- 建築主事が職務上通常払うべき注意を怠って不適合を看過したか
- 建築確認に起因する損害が発生したか
結論:違法な建築確認でも自動的に賠償されるわけではない
違法な建築確認について国家賠償責任を問うには、建築基準関係規定への不適合だけでなく、建築主事が職務上通常払うべき注意を怠って不適合を看過したことや、建築確認に起因する損害が発生したことが必要です。
