司法書士会の震災復興支援寄付は適法?群馬司法書士会事件を解説

司法書士会の震災復興支援寄付は目的の範囲内とされた

結論からいうと、群馬司法書士会事件では、司法書士会が行った震災復興支援の寄付は、会の目的の範囲内に含まれると判断されました。

この事件では、阪神・淡路大震災で被害を受けた兵庫県司法書士会に対し、群馬司法書士会が3,000万円の復興支援拠出金を寄付しました。その財源として、会員から特別負担金を集める総会決議をしたところ、この決議の有効性が争われました。

最高裁は、司法書士会が目的を遂行するため、他の司法書士会に対して協力・援助をすることも活動範囲に含まれるとしました。そして、寄付の金額が大きいことだけを理由に、直ちに会の目的の範囲外とはいえないと判断しました。

群馬司法書士会事件の概要

何が問題になったのか

今回争われたのは、被災した別の司法書士会への支援が、司法書士会の目的に含まれるかどうかです。目的の範囲を超える行為であれば、そのために会員から特別負担金を徴収する総会決議も無効となります。

最高裁の判断

最高裁は、司法書士会には、目的を遂行するうえで直接または間接に必要な範囲で、他の司法書士会と業務その他について提携・協力・援助をする活動も含まれるとしました。

そのうえで、阪神・淡路大震災が甚大な被害を生じさせた大災害であり、早急な支援を行う必要があった事情を考慮しました。したがって、3,000万円という金額だけから、寄付が目的の範囲外になるとはいえないと判断したのです。

震災復興支援の寄付が目的の範囲内とされた理由

重要なのは、寄付先が政治団体ではなく、震災で被害を受けた他の司法書士会だったことです。他の司法書士会への業務上の協力・援助といえるため、会の目的とのつながりが認められました。

ただし、この判例は「司法書士会による震災寄付は、いつでも適法である」という意味ではありません。寄付先、寄付の目的、災害の甚大さや支援の緊急性など、具体的な事情を踏まえて判断されたものです。金額が大きくても直ちに目的の範囲外とはいえませんが、金額だけで目的の範囲内になるわけでもありません。

南九州税理士会事件との違い

南九州税理士会事件では、税理士会が税理士法の改正を有利な方向に働きかけるため、特定の政治団体に寄付する資金として会員から特別会費を徴収しました。最高裁は、政治団体への寄付は税理士会の目的の範囲外であり、徴収の総会決議も無効と判断しました。

両事件の違いは、主に寄付先と寄付の目的にあります。

  • 政治団体への寄付:会の目的の範囲外
  • 被災した他の司法書士会への復興支援:業務上の協力・援助として目的の範囲内

まとめ

群馬司法書士会事件では、司法書士会による震災復興支援の寄付は、会の目的の範囲内にあると判断されました。他の司法書士会への協力・援助にあたり、震災の甚大さや支援の緊急性も考慮されたためです。

もっとも、司法書士会の寄付が常に認められるわけではありません。寄付先、目的、災害の状況などを具体的に確認する必要があります。