法人の本質とは?法人実在説・法人擬制説・法人否認説の違いを解説

法人は、自然人と同様に、法律上の権利義務の主体となる資格(法人格)を持ちます。では、法人は自然人と同じように実在するのでしょうか。それとも、法律によって認められた存在にすぎないのでしょうか。

この疑問に答える考え方が、法人実在説・法人擬制説・法人否認説です。ここでは、法人の本質と3つの学説の違いを整理します。

法人の本質とは

法人は法律上の権利義務の主体

法人とは、法律上の権利義務の主体となる存在です。法人自身が自然人のように動いたり、契約などの法律行為をしたりするわけではありません。実際には、自然人が法人を代表して、契約その他の法律行為を行います。

また、法人の財産は、構成員である個人の財産とは区別されます。団体の財産は、構成員個人の財産とは区別して、法人の財産として扱われます。

法人の成立は法律に基づく

法人は、法律の規定によらなければ成立しません。これを法人法定主義といいます。つまり、団体や財産の集まりが存在するだけで、当然に法人格を取得するわけではありません。

このように、法人は法律上の主体でありながら、自然人とは異なる存在です。その性質をどのように説明するかについて、以下の3つの学説があります。

法人実在説・法人擬制説・法人否認説の意味

法人実在説

法人実在説は、法人を自然人と同様の実在であると考える説です。法人は単なる法律上の想定ではなく、団体などとして実在しており、法人そのものが権利義務の主体になると説明します。

法人擬制説

法人擬制説は、法人を、自然人と同じように権利能力の主体として法律上認められた存在にすぎないと考えます。法人が権利を持ち義務を負うのは、法律がそのように扱っているためです。

したがって、法人を自然人と同じような実在とは考えません。この点が、法人を実在するものとみる法人実在説との主な違いです。

法人否認説

法人否認説は、法人の実在を否定する考え方です。法人とは、結局のところ、個人または一定の財産についての法律関係の帰属点にすぎないと捉えます。

3つの学説の違いを比較

学説 法人の捉え方 特徴
法人実在説 法人は自然人と同様に実在する 法人そのものを実在する存在と考える
法人擬制説 法律上の権利能力の主体として認められた存在 法人を法律上認められた存在と考える
法人否認説 法人は実在しない 個人や一定の財産に関する法律関係の帰属点と考える

つまり、3つの学説は、法人を「自然人と同様に実在する存在」とみるか、「法律上、権利能力の主体として認められた存在」とみるか、それとも「法律関係の帰属点」にすぎないとみるかで対立しています。

まとめ

  • 法人実在説:法人を自然人と同様に実在する存在とみる
  • 法人擬制説:法人を法律上の権利能力の主体として認められた存在とみる
  • 法人否認説:法人の実在を否定し、個人または一定の財産に関する法律関係の帰属点とみる

法人の本質をめぐる違いは、法人を自然人と同様の実在と考えるのか、法律上認められた存在と考えるのか、または法人自体の実在を認めないのかという点にあります。