境界付近で塀を修繕したり、境界標を確認・測量したりする際には、作業のため隣地に入る必要が生じることがあります。このような場合に問題となるのが、民法209条の「隣地使用権」です。
ただし、隣地へ自由に立ち入れる権利ではありません。法律上認められる目的と範囲、通知などの条件を守る必要があります。
隣地使用権とは
隣地使用権とは、土地の所有者が、一定の目的を達成するために必要な範囲で、隣の土地を使用できる権利です。主に、次の目的で認められます。
- 境界またはその付近で、塀・建物などの工作物を築造、収去、修繕するため
- 境界標を調査するため
- 境界に関する測量をするため
- 民法233条3項に基づき、越境した竹木の枝を切り取るため
必要な範囲を超えて隣地を使ったり、目的と関係なく立ち入ったりすることはできません。
境界工事や測量で隣地に立ち入る条件
必要な範囲内で使用する
立ち入る場所、時間、方法は、目的のために必要な範囲内にとどめます。隣地全体を自由に利用できるわけではありません。
住家への立入りには居住者の承諾が必要
隣地が住家である場合は、居住者の承諾なしに立ち入ることはできません。
隣地への損害が最も少ない方法を選ぶ
使用の日時、場所、方法は、隣地の所有者と隣地を使用している人への損害が最も少ないものを選ばなければなりません。
目的・日時・場所・方法を通知する
原則として、使用前に次の事項を隣地所有者と隣地使用者へ通知します。
- 使用する目的
- 使用する日時
- 使用する場所
- 使用する方法
事前の通知が難しい場合は、使用開始後、遅滞なく通知すれば足ります。
損害が発生した場合は償金を請求される
隣地を使用されたことによって隣地所有者または隣地使用者に損害が生じた場合、被害を受けた側は償金(損害の償いとして支払われる金銭)を請求できます。
まとめ
隣地使用権とは、境界付近の工作物の築造・収去・修繕、境界標の調査、境界に関する測量などのため、必要な範囲で隣地を使用できる権利です。使用前には目的・日時・場所・方法を通知し、隣地への損害が最も少ない方法を選びます。隣地が住家の場合は居住者の承諾が必要で、損害が生じれば償金を請求されることがあります。
