共有物の変更には共有者全員の同意が必要?具体例と例外を解説

共有不動産や共有物に変更を加える場合、原則として共有者全員の同意が必要です。ただし、形状や効用を著しく変えない「軽微変更」は、共有物の管理として、共有者の持分の価格に従った過半数で決められます。

また、共有者を知ることができない、または所在を知ることができない場合には、裁判所の裁判によって例外的に変更できることがあります。

共有物の変更は原則として共有者全員の同意が必要

共有物の「変更」とは

共有物の変更とは、共有物に変更を加える行為です。共有者の持分が多いか少ないかにかかわらず、他の共有者全員の同意を得なければなりません。

変更に該当する行為の具体例

  • 共有農地を宅地に変更する
  • 共有山林を伐採する
  • 共有物を全部売却する
  • 共有地に抵当権を設定する

ただし、共有物の変更であっても、形状または効用を著しく変えないものは「軽微変更」として、共有物の管理として扱われます。

全員の同意を得ずに変更した場合

共有者の一人が、他の共有者全員の同意なしに共有物に変更を加えることはできません。行為が変更に当たるか判断しにくい場合は、実施前に、保存・管理・変更のいずれに当たるかを確認する必要があります。

軽微な変更は「管理」として持分価格の過半数で決められる

軽微変更の意味

変更行為であっても、共有物の形状または効用を著しく変えないものは「軽微変更」とされ、共有物の管理として扱われます。この場合、共有者全員の同意ではなく、各共有者の持分の価格に従った過半数で決められます。

区分内容決め方
保存共有物の修繕など、現状を維持する行為各共有者が単独でできる
管理(軽微変更を含む)共有物の形状または効用を著しく変えない行為持分の価格に従った過半数
変更共有物に変更を加える行為(軽微変更を除く)共有者全員の同意

形状または効用を著しく変える場合は、変更に当たり、共有者全員の同意が必要です。

共有物の賃借権などに関する扱い

一定期間を超えない賃借権その他の使用・収益を目的とする権利の設定は、管理として持分の価格に従った過半数で決められます。期間の上限は、樹木の栽植または伐採を目的とする山林の賃借権などが10年、それ以外の土地の賃借権などが5年、建物の賃借権などが3年、動産の賃借権などが6か月です。これらの期間を超える賃借権などの設定は変更に当たり、共有者全員の同意が必要です。

共有者の所在が分からない場合などの例外

所在などが分からない共有者がいる場合

共有者を知ることができない、または所在を知ることができない場合、通常は全員の同意を得られません。このとき、共有者の請求により、裁判所が、所在などが分からない共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることがあります。

裁判所の裁判を経ずに、残りの共有者だけで当然に変更できるわけではありません。

共有物の管理者が変更する場合

共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができます。しかし、軽微変更を除く共有物の変更には、共有者全員の同意が必要です。管理者がいることだけを理由に、共有物に変更を加えることはできません。

管理者が共有者を知ることができない、またはその所在を知ることができない場合には、管理者の請求により、裁判所が、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることがあります。

まとめ|共有物の変更は「全員の同意」が原則

共有物に変更を加える場合は、共有者全員の同意が必要です。一方、形状または効用を著しく変えない軽微変更は管理行為として持分の価格に従った過半数で決められ、修繕などの保存行為は各共有者が単独でできます。

所在等不明の共有者がいる場合も、残りの共有者だけで当然に変更できるとは限らず、裁判所の裁判が必要です。実施前に、行為が保存・軽微変更・変更のどれに当たるかを確認しましょう。