譲渡担保は、一定の債権を担保するために、設定者が所有する財産の所有権を形式的に債権者へ移転させる担保です。もっとも、債務の弁済がない場合に、その所有権が債権者に確定的に帰属します。
では、債務不履行が起きた場合、譲渡担保はどのように実行されるのでしょうか。ここでは、実行の方法、実行後の所有権の帰属、清算義務を説明します。
譲渡担保を実行できるのはどのような場合か
債務不履行があることが実行の前提
譲渡担保は、一定の債権を担保するために設定されます。そのため、債務者に債務不履行があることが、実行の前提となります。
設定時点では、形式上の所有権は債権者へ移転しています。しかし、これはあくまで債権を担保するための移転です。債務の弁済がある場合に、債権者の所有権が確定的に帰属するわけではありません。
譲渡担保の実行によって所有権が確定する
債務不履行があり、債権者が譲渡担保を実行すると、目的物の所有権は債権者に確定的に帰属します。つまり、設定時の形式的な所有権移転が、担保の実行によって最終的な帰属になります。
譲渡担保の実行方法
裁判所を通さず、当事者間で定めた方法により実行できる
譲渡担保の実行では、裁判所の関与を必要とせず、当事者が任意に定めた方法によることができます。
例えば、債権者が目的物を売却して換金し、その代金を債権の回収に充てる方法があります。
実行後の所有権の帰属と債権者の清算義務
目的物の所有権は債権者に確定的に帰属する
譲渡担保を実行すると、目的物は債権者に確定的に帰属します。そのため、設定者が目的物を占有している場合、債権者は設定者に対して目的物の引渡しを請求できます。
ただし、所有権が債権者に移ることと、債権者が目的物の価値をすべて取得できることは別問題です。
目的物の価値と債権額の差額を清算する
譲渡担保は、債権を担保するための制度です。したがって、債権者は、債務不履行となった債権額と譲渡担保の目的物の価額との差額を、設定者に清算しなければなりません。
債権者が債権額を超える利益をそのまま取得できるわけではありません。実行後は、所有権の確定だけでなく、差額の清算まで行われる点が重要です。
まとめ:譲渡担保の実行で押さえるべきポイント
- 譲渡担保は、債務不履行があると実行できる
- 実行方法は、裁判所の関与を必要とせず、当事者が任意に定めた方法によることができる
- 目的物を売却して換金し、債権の回収に充てる方法がある
- 実行後、目的物の所有権は債権者に確定的に帰属する
- 債権額と目的物の価額との差額は、設定者に清算する必要がある
