詐害行為が取り消されると、受益者は反対給付の返還を請求できる
詐害行為取消権によって、債務者から財産を取得した受益者が、その財産を返還しなければならないことがあります。しかし、受益者が支払った代金などの反対給付まで失うわけではありません。
債務者がした財産の処分に関する行為(債務の消滅に関する行為を除く)が取り消された場合、受益者は、財産を取得するためにした反対給付の返還を債務者に請求できます。たとえば、債務者から土地を購入した受益者が、詐害行為取消しによって土地を返還することになった場合、支払済みの売買代金を債務者に返すよう求められます。
反対給付の返還が難しいときは、価額の償還を請求できる
原則は、受益者が支払った反対給付そのものの返還請求です。ただし、債務者が反対給付を返還することが困難な場合、受益者は、その反対給付の価額の償還を請求できます。
転得者が関係する場合の反対給付の扱い
受益者からさらに財産を取得した人を転得者といいます。転得者に対する詐害行為取消請求によって元の財産処分が取り消された場合、転得者は、受益者が債務者に対して持つ反対給付の返還請求権または価額償還請求権を行使できます。
たとえば、債務者が受益者に建物を売却し、受益者がその建物を転得者に転売した後、転得者に対する詐害行為取消請求によって債務者と受益者との建物の売買が取り消された場合、転得者は、受益者の債務者に対する売買代金の返還請求権を行使できます。
返還されるものが「反対給付」ではない場合の注意点
受益者が債務者に対する借金を返済したなど、債務の消滅に関する行為が取り消された場合は、425条の2の反対給付の返還ルールでは処理しません。
この場合、受益者が債務者から受け取った給付を返還し、またはその価額を償還すると、受益者の債務者に対する債権が原状に戻ります。ただし、過大な代物弁済等の特則によって取り消された場合は、この債権回復のルールの対象外です。
まとめ
- 財産の売買などが取り消された場合、受益者は支払った反対給付の返還を債務者に請求できる。
- 返還が困難なら、反対給付の価額の償還を請求できる。
- 転得者は、受益者の反対給付返還請求権などを行使できる。
- 借金の返済が取り消された場合は、反対給付の返還ではなく、受益者の債権が回復する。
