担保物権とは、債権の担保を目的とする物権です。取得方法によって、約定担保物権と法定担保物権に分けられます。
両者の大きな違いは、担保物権が成立する原因です。約定担保物権は契約によって取得し、法定担保物権は契約によらず、法律上の要件を満たすことで取得します。
約定担保物権と法定担保物権の違い
約定担保物権とは
約定担保物権は、債権者と設定者との合意、つまり担保設定契約によって成立する担保物権です。債権が存在するだけで、当然に担保が付くわけではありません。
具体的には、抵当権と質権が約定担保物権です。たとえば、融資を受けただけでは、所有する不動産に抵当権は発生しません。別途、抵当権設定契約を締結する必要があります。
法定担保物権とは
法定担保物権は、担保設定契約を結ばなくても、法律上の要件を満たすことで成立する担保物権です。具体的には、留置権と先取特権があります。
ただし、「法定」とは、どのような場合でも自動的に発生するという意味ではありません。法律上の成立要件を満たす必要があります。
約定担保物権の取得方法
抵当権の取得方法
債権者と、不動産を担保に提供する設定者が抵当権設定契約を結ぶことで設定します。設定者は債務者本人に限らず、第三者でも構いません。債務者以外の第三者が不動産を担保に提供する場合、その第三者を物上保証人といいます。
抵当権を設定しても、不動産の占有は債権者へ移りません。不動産を目的とする抵当権は、第三者に権利を主張するために登記が必要です。
質権の取得方法
質権も、債権者と設定者との間で質権設定契約を結んで取得します。質権には、担保目的物を債権者が留置できる留置的効力があります。不動産を目的とする質権については、登記が第三者への対抗要件となります。
非典型担保の取得
譲渡担保や所有権留保も、原則として当事者間の契約によって取得します。ただし、これらは民法に典型的な担保物権として規定されたものではないため、抵当権や質権とは区別されます。
法定担保物権の取得方法
留置権の取得方法
留置権を成立させるために、留置権設定契約を結ぶ必要はありません。法律上の要件を満たすことで成立します。
たとえば、時計店が腕時計の修理を頼まれた場合、修理代を受け取るまで、当然に腕時計の返還を拒むことができます。留置権は登記できません。また、目的物から優先的に弁済を受ける効力や、目的物の代わりに保険金などへ効力を及ぼす物上代位性は認められていません。
先取特権の取得方法
先取特権も、担保設定契約を結ばずに成立します。法律が定める一定の債権を持つことが成立の前提です。不動産を目的とする先取特権では、登記が第三者への対抗要件となります。
約定担保物権と法定担保物権の違いを一覧で比較
| 比較項目 | 約定担保物権 | 法定担保物権 |
|---|---|---|
| 取得原因 | 当事者間の契約 | 法律上の要件を満たすこと |
| 主な担保物権 | 抵当権・質権 | 留置権・先取特権 |
| 契約の必要性 | 必要 | 不要 |
| 成立の判断 | 契約内容に基づく | 法律上の成立要件に基づく |
このように、約定担保物権は当事者の合意によって設定するのに対し、法定担保物権は法律上の要件を満たすことで成立する点が主な違いです。
