債務不履行とは、債務者が債務の本旨に従った履行をしないことです。債務者は義務を負う人、債権者はその履行を請求できる人を指します。
たとえば、依頼者が料金を支払ったにもかかわらず、制作会社が納期を過ぎても成果物を渡さない場合、債務不履行となる可能性があります。債務不履行には、履行遅滞・履行不能・不完全履行の3種類があります。
債務不履行とは、債務を本来の内容どおりに履行しないこと
債務不履行があると債権者に認められる主な請求
債権者は、まず約束された内容を実行するよう債務者に求められます。任意に履行されないときは、法律上の手続を利用して、裁判所に履行の強制を請求することもできます。ただし、履行不能など、債務の性質上実現できない場合は除かれます。
また、一定の要件を満たせば、債務不履行によって生じた損害の賠償や、契約の解除を請求できることがあります。
債務不履行の3つの種類
履行遅滞:履行できるのに、履行期が過ぎても履行しない
履行遅滞とは、履行することは可能なのに、履行期を過ぎても義務を果たさない状態です。たとえば、展示会用の機材を指定日までに搬入する契約で、機材の準備ができているのに業者が搬入しない場合が挙げられます。
履行期が確定しているか、不確定期限が付いているか、期限の定めがないかなどによって、履行遅滞となる時期は異なります。履行不能と違い、遅れていても本来の履行自体は可能です。
履行不能:履行そのものができない
履行不能は、債務の履行が不可能になった状態です。物理的にできない場合だけでなく、法律上または社会的にできない場合も含まれます。また、契約後に不可能となった場合だけでなく、契約時点ですでに不可能だった場合も含まれます。
不完全履行:一応履行されたが、内容が不完全
不完全履行とは、給付はされたものの、契約で定めた内容に適合していない状態です。数量や品質が違う場合、履行の方法が不適切な場合、必要な注意を怠って目的物を損傷させた場合などが該当します。「まったく履行していない」のではなく、「履行されたが十分ではない」点が特徴です。
債務不履行の基本的な効果
履行請求・履行の強制
債権者は本来の履行を請求でき、債務者が応じなければ、裁判所に履行の強制を請求できます。債権者が自力で強制することはできません。履行不能など、債務の性質上強制できない場合は、履行の強制ではなく損害賠償などが問題になります。
損害賠償請求
一定の要件を満たし、債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)があるときは、債務不履行による損害賠償を請求できます。履行遅滞では遅れによる損害、履行不能では履行に代わる損害、不完全履行では不備によって生じた損害が中心となります。
契約の解除
契約上の義務が果たされない場合、契約を解除できることがあります。履行遅滞では、原則として相当な期間を定めて催告し、それでも履行されないことが必要です。一方、履行不能などでは催告をせずに解除できる場合があります。実際に解除できるかは、不履行の内容や契約の状況によって判断されます。
