連帯債務の絶対効・相対効とは
連帯債務の基本
連帯債務とは、性質上は分けられる債務について、複数の債務者がそれぞれ債務全額を負担する関係です。法令の規定または当事者の意思表示によって成立し、債権者は、連帯債務者の1人に対しても、全部または一部の履行を請求できます(民法436条)。
たとえば、AがBとCに100万円を貸し付け、BとCが連帯債務を負担している場合、AはBまたはCのいずれか一方に対しても、100万円全額の返済を請求できます。もっとも、連帯債務者の1人に無効や取消しの原因があっても、他の債務者の債務には影響しません(民法437条)。
絶対効と相対効の違い
絶対効とは、1人について生じた事由が、他の連帯債務者にも影響することです。相対効とは、1人について生じた事由が、他の連帯債務者には影響しないことをいいます。連帯債務では、絶対効が認められる事由は法律上限定されています。
連帯債務で絶対効が生じる4つの事由
弁済――1人が支払うと全員の債務が消滅する
連帯債務者の1人が弁済すると、全ての連帯債務者の債務が消滅します。弁済には、代物弁済や供託も含まれます。
相殺――1人が相殺を援用すると全員の利益になる
連帯債務者の1人が債権者に対する反対債権を持ち、その連帯債務者が相殺を援用すると、その相殺は全ての連帯債務者の利益のために効力を生じます(民法439条1項)。相殺を援用しない場合でも、他の債務者は、その者の負担部分について履行を拒めます(同条2項)。負担割合の定めがなければ、原則として均等です。
更改――1人との更改で旧債務が消滅する
更改とは、債務の要素を変更して新しい債務を成立させ、旧債務を消滅させることです。1人の連帯債務者と債権者が更改をすると、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅します(民法438条)。
混同――債務者と債権者が同一人になる場合
混同とは、債権と債務が同じ人に帰属することです。連帯債務者の1人と債権者との間に混同が生じると、その債務者が弁済したものとみなされ、他の連帯債務者の債務も消滅します(民法440条)。
連帯債務で相対効となる事由と注意点
請求・免除・時効は原則として相対効
1人に対する請求、免除、時効の完成、時効の利益の放棄などは、原則として他の連帯債務者に影響しません。連帯債権とは異なり、請求が当然に全員へ及ぶわけではない点に注意が必要です。
絶対効かどうかを判断する手順
- 問題となる事由が、弁済・相殺・更改・混同のどれかを確認する。
- 該当すれば、法律上の要件と効果の範囲を確認する。
- 該当しなければ、原則として相対効と考える。
ただし、債権者および他の連帯債務者の1人が別段の意思を表示した場合は、その意思に従うことがあります(民法441条ただし書)。
