債権譲渡後に債務者が主張できる抗弁とは?弁済や解除の影響を解説

債権譲渡後も、債務者は譲渡人に対する抗弁を主張できる

債権譲渡が行われると、譲受人から債務者に支払いを求められることがあります。しかし、債権が譲渡されたことだけを理由に、債務者が譲渡人に対して持っていた主張まで失うわけではありません。

民法468条1項では、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由を、債務者が譲受人にも主張できると定めています。

抗弁の基準となる「対抗要件具備時」とは

対抗要件具備時とは、譲渡人が債務者に債権譲渡を通知した時、または債務者が譲渡を承諾した時です。この通知・承諾がなければ、譲受人は債務者に債権譲渡を対抗できません。

そして、抗弁があるかどうかは、この時点を基準に判断します。

債務者が譲受人に主張できる主な抗弁

弁済などによって債権が消滅している場合

対抗要件具備時より前に、債務者が譲渡人へ弁済していた場合、その弁済によって債権は消滅しています。したがって、譲受人から請求されても、債務者は弁済によって債権が消滅していることを主張できます。

債権の無効・取消し・解除を主張できる場合

譲渡された債権について、無効・取消し・解除の事由が対抗要件具備時までに生じていた場合、債務者はその事由を譲受人にも主張できます。

同時履行の抗弁権がある場合

譲渡された債権について、債務者が同時履行の抗弁権を有している場合、債務者はその抗弁を譲受人にも主張できます。

債務者は相殺も譲受人に主張できるのか

債務者が譲渡人に対する反対債権を有する場合、一定の条件を満たせば、相殺を譲受人に対抗できます。

相殺を主張できる3つのケース

  1. 対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権
  2. 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた譲渡人に対する債権
  3. 譲受人が取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた譲渡人に対する債権

相殺できない場合の注意点

2と3の場合でも、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得した債権による相殺は、譲受人に対抗することができません。

まとめ|債権譲渡後も、基準時までの抗弁は譲受人に主張できる

債権譲渡後も、債務者は譲渡人に対して生じた抗弁を当然に失いません。基準となるのは、譲渡人による通知または債務者の承諾の時点です。

その前に生じた弁済、無効、取消し、解除、同時履行の抗弁は、譲受人にも主張できます。相殺についても、反対債権の取得時期や発生原因によっては対抗できますが、一定の場合には対抗できないため注意が必要です。