弁済の充当とは?指定充当・法定充当の順序をわかりやすく解説

複数の借入れがある場合や、1つの債務について元本・利息・費用が発生している場合、支払額が全額に届かないことがあります。このとき、どの債務に、どの順番で支払いをあてるかを決めるのが弁済の充当です。

弁済の充当とは?まず適用される順序を確認

弁済の充当の意味

弁済の充当とは、弁済額が複数の債務の合計額に足りないとき、その支払いをどの債務の弁済にあてるかを決めることです。同じ債権者に対して、同じ種類の給付を目的とする複数の債務がある場合に問題になります。

例えば、同じ相手から2つの借入れをしている人が、その一部だけを返済した場合、どちらの借入れが減るのかによって、残る元本や利息などが変わります。

弁済の充当は「合意・指定・法定」の順で決まる

  1. 弁済者と弁済受領者との間に合意があれば、その合意に従う(合意充当・民法490条)
  2. 合意がなければ、弁済者または弁済受領者が指定する(指定充当)
  3. いずれも指定しない場合などは、民法の基準による(法定充当)

したがって、まず弁済者と弁済受領者との間の合意が優先されます。

指定充当とは?弁済者と債権者のどちらが指定できるか

原則は弁済者が充当先を指定する

同一の債権者に対する複数の債務があり、支払額がすべてを消滅させるのに足りない場合、弁済者は、弁済をするときに、どの債務へ充当するかを指定できます(民法488条1項)。例えば、同じ債権者に対して2つの債務を負う人が一方を指定して支払えば、原則としてその指定に従います。

弁済者が指定しない場合は弁済受領者が指定できる

弁済者が指定しなかったときは、弁済を受ける債権者が、受領時に充当先を指定できます(民法488条2項)。ただし、弁済者がその指定に対して直ちに異議を述べた場合は、債権者の指定どおりにはなりません。

元本・利息・費用がある場合の充当順序

1つまたは複数の債務について、元本のほか利息や費用を支払う必要があり、弁済者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をした場合は、原則として次の順で充当します(民法489条1項)。なお、複数の債務については、同一の債権者に対して同種の給付を目的とする債務の場合に限られます。

  1. 費用
  2. 利息
  3. 元本

これは「どの債務にあてるか」とは別に、「1つの債務の中で何から減らすか」を決めるルールです。

法定充当の順序|指定がない場合はどう決まる?

弁済者と弁済受領者のどちらも指定しない場合、または弁済者が債権者の指定に直ちに異議を述べた場合は、次の順序で充当します(民法488条4項)。

  1. 弁済期が到来している債務を優先する
  2. すべてが弁済期にある、または弁済期前である場合は、弁済の利益が多い債務を優先する
  3. 弁済の利益が同じなら、弁済期が先に到来したもの、または先に到来すべき債務を優先する
  4. それでも同じなら、各債務額に応じて按分する

まとめ|弁済の充当は「合意→指定→法定」の順で決まる

弁済の充当とは、一部弁済をどの債務にあてるかを決めることです。合意があれば合意が優先され、合意がなければ、まず弁済者、次に弁済受領者が充当先を指定します。指定がない場合は、弁済期、弁済の利益、弁済期の先後、債務額による按分の順で法定充当が行われます。