請負契約の仕事の目的物に契約不適合があった場合、注文者は、原則として不適合を知った時から1年以内に、その旨を請負人へ通知しなければなりません。
この期間内に通知しないと、履行の追完、報酬の減額、損害賠償、契約解除を請求できなくなります。ここで重要なのは、目的物の引渡しから1年ではなく、注文者が不適合を知った時から1年である点です。
請負契約の契約不適合責任は「不適合を知った時から1年」
注文者は契約不適合を知った時から1年以内に通知する
民法637条1項は、注文者が契約不適合を知った時から1年以内に、請負人へその旨を通知しなければならないと定めています。
通知しないと請求できなくなる権利
1年以内に通知しなかった場合、原則として、契約不適合を理由に次の請求ができなくなります。
- 履行の追完請求(修補など)
- 報酬減額請求
- 損害賠償請求
- 契約解除
正確には、契約不適合そのものが消えるというより、契約不適合を理由とするこれらの権利行使が制限されます。
1年の通知期間はいつから始まるのか
引渡しがある場合は、引渡し後に不適合を知った時から
仕事の目的物を引き渡す請負契約では、注文者が目的物の契約不適合を知った時が、1年の通知期間の起算点です。引渡しを受けた時点ですでに不適合を知っていたなら、その時から1年以内に通知します。引渡し後に不適合を知った場合は、不適合を知った時から1年以内に通知します。
引渡しがない場合は、仕事の終了後に不適合を知った時から
目的物の引渡しを要しない請負では、仕事が終了した時に仕事の目的物が契約の内容に適合しているかを判断します。この場合も、注文者が不適合を知った時から1年以内に通知するという基本ルールは変わりません。
通知期間が適用されない例外と、請求できない場合
請負人が不適合を知っていた場合などは1年の制限を受けない
目的物の引渡し時、または引渡しがない場合の仕事の終了時に、請負人が不適合を知っていたときは、1年以内の通知を求める制限は適用されません。請負人が重大な過失によって不適合を知らなかった場合も同様です(民法637条2項)。
注文者の材料や指図が原因の場合
請負人が仕事の目的物を引き渡した時、または引渡しを要しない場合に仕事が終了した時に、契約の内容に適合しない状態が注文者の提供した材料の性質や、注文者の指図によって生じた場合、注文者は原則として、契約不適合責任に基づく請求をできません(民法636条)。
ただし、請負人が材料や指図が不適当であることを知りながら注文者に告げなかった場合は、履行の追完、報酬の減額、損害賠償、契約解除を請求できます。
まとめ:契約不適合を知ったら早めに通知する
請負契約では、注文者が契約不適合を知った時から1年以内に、請負人へ通知するのが原則です。通知しないと、履行の追完、報酬減額、損害賠償、解除ができなくなります。
一方、請負人が不適合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合には、この1年の制限は適用されません。また、注文者の材料や指図が原因なら、別の理由で請求が制限されるため、不適合の原因も確認しましょう。
