委任契約は、委任者と受任者のどちらからでも、原則としていつでも解除できます。ただし、解除した時期や委任の目的によっては、相手方に生じた損害を賠償しなければならない場合があります。また、解除の効力は将来に向かってのみ生じます。
委任契約は原則としていつでも解除できる
委任者・受任者のどちらからでも解除できる
委任契約は、当事者間の信頼関係を前提とする契約です。そのため、民法651条1項により、委任者・受任者のいずれも、いつでも契約を解除できます。
たとえば、委任者が事務を任せる必要がなくなった場合や、受任者が事務を続けることが難しくなった場合でも、契約を解除できます。
解除の効力は将来に向かってのみ生じる
委任契約の解除の効力は、将来に向かってのみ生じます(民法651条1項、652条、620条)。
受任者の利益のための委任でも解除できる場合がある
委任が受任者の利益のためにも行われている場合でも、直ちに解除できなくなるわけではありません。委任者が解除権を放棄したものと解される事情がなければ、やむを得ない事由がなくても解除できるとされています。
委任契約を解除する方法と解除後の扱い
解除する側から契約を解除する
委任者からでも受任者からでも、いつでも委任契約を解除できます。解除の効力は、将来に向かってのみ生じます。
解除後に受任者が行うべきこと
委任が終了した後、受任者は、事務処理の経過と結果を遅滞なく報告しなければなりません。また、事務処理のために受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡し、委任者のために自己の名で取得した権利がある場合は、その権利を委任者に移転します。
解除によって損害賠償責任が生じる場合
委任契約は原則として自由に解除できますが、次の場合には、やむを得ない事由がない限り、解除した者が相手方の損害を賠償しなければなりません。
- 相手方にとって不利な時期に委任を解除した場合
- 委任者が、受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除きます。)を目的とする委任を解除した場合
したがって、「いつでも解除できる」ことと、「損害賠償責任を負わない」ことは別です。解除自体はできても、時期や委任の目的によっては賠償問題が生じます。
解除とは別に委任契約が終了する場合
次の事由が生じた場合も、委任契約は終了します(民法653条)。
| 当事者 | 委任契約が終了する事由 |
|---|---|
| 委任者 | 死亡、破産手続開始の決定 |
| 受任者 | 死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判 |
ただし、これらの終了事由は、相手方に通知したとき、または相手方がその事実を知っていたときでなければ、相手方に対抗できません(民法655条)。
