委任契約が終了するのはどんな場合?死亡・破産・後見開始の影響を解説

委任契約は、委任者が受任者に事務の処理を頼み、受任者が引き受ける契約です。委任者と受任者のどちらからでも、いつでも解除できます。また、当事者に死亡や破産手続開始の決定などが生じると、法律上、契約が終了する場合もあります。

この記事では、委任契約の終了事由と、死亡・破産・後見開始が契約に与える影響を説明します。

委任契約が終了する2つのパターン

当事者が解除した場合

委任契約は、委任者または受任者のどちらからでも、いつでも解除できます(民法651条1項)。解除の効力は、将来に向かってのみ生じます(同法652条、620条)。

ただし、①相手方に不利な時期に解除した場合、②委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除きます。)をも目的とする委任を解除した場合には、やむを得ない事由がない限り、相手方の損害を賠償しなければならないことがあります(同法651条2項)。このような「解除」は当事者の意思によるものです。一方、死亡や破産などによる終了は、法律上の終了事由が発生することで生じます。

法律上の終了事由が発生した場合

民法653条は、委任者または受任者に一定の事情が生じたとき、委任契約が終了すると定めています。委任は当事者間の信頼関係を前提とするため、誰にどの事情が生じたかによって終了事由が異なります。

委任者・受任者に生じる終了事由

委任者に生じた場合

委任者については、次のいずれかに該当すると委任契約が終了します。

  1. 委任者が死亡したとき
  2. 委任者が破産手続開始の決定を受けたとき

委任者については、後見開始の審判は民法653条に定める終了事由に含まれていません。この点は、受任者の場合と異なります。

受任者に生じた場合

受任者については、次のいずれかに該当すると委任契約が終了します。

  1. 受任者が死亡したとき
  2. 受任者が破産手続開始の決定を受けたとき
  3. 受任者が後見開始の審判を受けたとき

つまり、受任者については、死亡・破産に加えて、後見開始の審判も終了事由です。

終了事由が発生したことを相手方に主張するための注意点

死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判があったとしても、その事実を相手方が知らないことがあります。民法655条により、終了事由は、相手方に通知したとき、または相手方がその事実を知っていたときでなければ、相手方に対抗できません。

たとえば、受任者が後見開始の審判を受けたにもかかわらず、委任者がその事実を知らないケースです。この場合、委任者に終了事由を通知していなければ、受任者側は契約終了を委任者に対抗できません。

終了事由が発生したときは、相手方への通知が済んでいるか、また相手方が事実を知っているかを確認することが重要です。

まとめ

  • 委任契約は、当事者が解除した場合に終了します。
  • 委任者の死亡・破産手続開始の決定は、終了事由です。
  • 受任者の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判も、終了事由です。
  • ただし、終了事由を相手方に通知していない場合などは、終了を相手方に対抗できないことがあります。