不法行為によって損害を受けた場合、被害者は加害者に損害賠償を請求できます。損害賠償の方法は、原則として金銭の支払いです。ただし、名誉を毀損されたケースでは、金銭賠償に加えて、または代わりに名誉回復の処分を求められることがあります。
不法行為による損害賠償は金銭賠償が原則
損害を金銭に換算して賠償を受ける
不法行為による損害賠償は、債務不履行の場合と同じく、金銭で支払うのが基本です。
損害賠償額が調整される場合
被害者にも不法行為の発生について過失があるときは、裁判所がその事情を考慮して賠償額を減らすことがあります。これを過失相殺といいます。不法行為における過失相殺は、裁判所が事情を考慮するかどうかを判断できる任意的なものです。
また、不法行為を原因として被害者が利益を得た場合、その利益を損害額から差し引く損益相殺が行われることがあります。ただし、利益の性質によって控除されない場合もあります。例えば、被害者が払い込んだ保険料の対価である生命保険金は、損害を補てんする目的とはいえないため、損益相殺の対象となりません。
不法行為による損害賠償債務は、被害者から催告しなくても損害が発生した時点で遅滞となります。そのため、賠償額には支払時までの遅延損害金が加算されることがあります。
名誉毀損では名誉回復の処分を求められることがある
名誉回復の処分とは
他人の名誉を毀損した場合、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、または損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命じることがあります。
民法723条でいう「名誉」の範囲
民法723条の「名誉」とは、品性・徳行・名声・信用などについて社会から受ける客観的な評価を指します。本人が「侮辱された」と感じるだけの主観的な評価である名誉感情は、同条の名誉には含まれません。
損害賠償を請求できる人と請求期限を確認する
原則として損害を受けた人が請求する
請求できるのは、不法行為によって損害を受けた人です。生命侵害の場合、入院費や葬儀費用は、実際に支出した人の損害として扱われます。
不法行為がなければ本来得られたはずの利益である逸失利益については、被害者本人が損害の発生と同時に損害賠償請求権を取得し、死亡した場合には相続人がその請求権を相続します。また、被害者が慰謝料請求権を行使する意思を表明しないまま死亡した場合でも、その請求権を放棄したといえる特別の事情がない限り、相続人が行使できます。
損害賠償請求権には時効がある
- 一般の不法行為:被害者またはその法定代理人が損害と加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年
- 生命・身体を害する不法行為:被害者またはその法定代理人が損害と加害者を知った時から5年、または不法行為の時から20年
これらの期間を経過すると、損害賠償請求権は時効により消滅します。
まとめ
不法行為による損害賠償は、金銭による賠償が原則です。過失相殺や損益相殺によって金額が調整されることがあり、名誉毀損では名誉回復の処分を求められる場合もあります。請求できる人と時効期間を確認することが大切です。
