二重の基準論とは、精神的自由と経済的自由を区別し、両者に異なる厳しさの違憲審査基準を用いる考え方です。精神的自由を制約する立法には、経済的自由を制約する立法よりも厳格な審査基準を用います。
二重の基準論とは
二重の基準論の意味
二重の基準論は、法令などが憲法に違反していないかを判断する「違憲審査基準」の一つです。精神的自由を制約する立法は厳格に審査し、経済的自由を制約する立法は、原則として合理性の基準で審査します。
精神的自由と経済的自由の違い
精神的自由とは
精神的自由には、特に表現の自由が含まれます。表現の自由が不当に制約されると、国民の意見を国会に反映することができなくなり、民主政の過程そのものが傷つけられるおそれがあります。
経済的自由とは
経済的自由には、職業を選ぶ自由や財産権などが含まれます。経済的自由に対する規制は、多くの場合、政策的な判断を必要とします。
両者の関係
精神的自由は、経済的自由に対して優越的地位にあるとされます。ただし、これは精神的自由の価値が経済的自由の価値より高いという意味ではありません。両者について審査基準を使い分ける理由は、自由が制約された場合の民主政への影響や、裁判所の判断能力の違いにあります。
なぜ精神的自由にはより厳しい審査基準を用いるのか
民主政の過程を守る必要があるため
精神的自由が不当に制約されると、国民が政治的意見を表明できなくなり、国民の意見を国会に反映することが難しくなります。そのため、裁判所が積極的に介入すべきとされます。
経済的自由は立法による是正が可能と考えられるため
経済的自由が制約されても、民主政が機能している限り、立法によって是正することが可能です。また、経済的自由に対する規制には政策的な判断が必要となることが多く、裁判所はその判断能力に乏しいと考えられています。そのため、経済的自由を制約する立法については、合理性の基準が用いられます。
二重の基準論による違憲審査の考え方
精神的自由を制限する立法
精神的自由を制約する立法については、経済的自由を制約する立法よりも厳格な基準で合憲性を審査します。
経済的自由を制限する立法
経済的自由を制約する立法については、原則として合理性の基準で合憲性を審査します。
「二重」と呼ばれる理由
同じ人権制限であっても、精神的自由には厳格な基準を、経済的自由には合理性の基準を用いるなど、二つの審査基準を使い分けるため「二重の基準論」と呼ばれます。
まとめ
二重の基準論とは、精神的自由と経済的自由を区別して違憲審査を行う理論です。精神的自由は民主政の過程を支えるため厳格に審査され、経済的自由は立法による是正が可能であり、政策的判断を必要とすることから、原則として合理性の基準で審査されます。ただし、これは精神的自由の価値が経済的自由の価値より高いという意味ではありません。
