担保物権とは?債権を回収するための「物」による担保
担保物権の意味
担保物権とは、債権の担保を目的とする物権です。債務者などの「物」を担保にするため、物的担保と呼ばれます。
たとえば、A銀行がBに1,000万円を貸し、Bの土地に抵当権を設定したとします。Bが返済しない場合、A銀行は抵当権を実行し、土地の競売代金から弁済を受けることができます。
これに対し、保証人など「人」の信用を担保目的とするものは人的担保と呼ばれます。
担保物権には典型担保と非典型担保がある
民法に規定された担保物権は、次の4種類です。これらは典型担保と呼ばれます。
- 抵当権
- 質権
- 留置権
- 先取特権
このほか、判例などによって認められた譲渡担保や所有権留保は、非典型担保と呼ばれます。なお、抵当権には根抵当権も含まれます。
契約で成立する担保物権と、法律上成立する担保物権
約定担保物権は、当事者の契約によって取得する担保物権です。抵当権と質権がこれに当たります。非典型担保も、原則として当事者の契約によって取得します。
一方、法定担保物権は、契約によらず、一定の債権を有する者が法律上の要件を満たすことで取得する担保物権です。留置権と先取特権が該当します。
不動産を目的とする抵当権・質権・先取特権は、登記が第三者に権利を主張するための要件です。これに対し、留置権は登記することができません。
担保物権4種類の違い
抵当権
抵当権は、債務者または第三者が所有する不動産を担保にする権利です。目的物の占有を債権者へ移さないため、設定者は不動産を引き続き使用・収益できます。債務不履行があれば、債権者は競売代金などから優先弁済を受けます。抵当権設定契約によって設定され、根抵当権も抵当権に含まれます。
質権
質権は、契約によって取得する約定担保物権です。返済を受けるまで目的物を留置できる留置的効力があります。不動産を目的とする場合は、登記が第三者への対抗要件となります。
留置権
留置権は、他人の物を占有する者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、物の返還を拒める権利です。契約がなくても、法律上の要件を満たせば取得します。
たとえば、A時計店がBから腕時計の修理を頼まれた場合、修理代を受け取るまで、Bに対する腕時計の返還を拒めます。ただし、留置権には優先弁済的効力や物上代位性はなく、登記もできません。
先取特権
先取特権は、法律が定める一定の債権を持つ者が、他の債権者より優先して弁済を受けられる担保物権です。契約ではなく、法律上の要件を満たすことで取得します。不動産を目的とする場合は、登記が第三者への対抗要件となります。
担保物権に共通する性質と、種類による違い
担保物権に共通する4つの性質
- 付従性:原則として、担保する債権がなければ担保物権は成立せず、債権が消滅すれば担保物権も消滅します。ただし、根抵当権は元本確定前には付従性が認められません。
- 随伴性:原則として、担保する債権が譲渡されると、担保物権も新しい債権者へ移転します。ただし、根抵当権は元本確定前には随伴性が認められません。
- 不可分性:債権の全額が弁済されるまで、担保物権の効力は目的物全体に及びます。
- 物上代位性:目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって生じた金銭などにも、担保物権の効力が及びます。ただし、留置権には認められず、物上代位権を行使するには、原則として金銭が支払われる前に差押えをする必要があります。
また、抵当権・質権・先取特権には、担保物から他の一般債権者より優先して弁済を受ける優先弁済的効力があります。目的物を留置できる留置的効力があるのは、質権と留置権です。
