根抵当権の消滅請求とは、一定の条件を満たす人が、根抵当権の極度額に相当する金額を支払い、または供託することで、根抵当権を消滅させる制度です。もっとも、いつでも利用できるわけではありません。元本が確定した後で、かつ元本確定後に現に存在する債務の額が極度額を超えていることが必要です。
根抵当権の消滅請求とは
根抵当権の消滅請求の意味
根抵当権は、継続的な取引などから発生する不特定の債権を、あらかじめ定めた限度額である「極度額」まで担保する権利です。
元本確定後、一定の立場にある人は、極度額に相当する金額を根抵当権者に払い渡すか、供託することで、根抵当権の消滅を請求できます。元本確定とは、根抵当権が最終的に担保する元本が確定することです。この制度の根拠は、民法398条の22第1項です。
消滅請求が認められる効果
極度額相当額の払い渡しまたは供託には、弁済の効力があります。つまり、担保されている債務を全額支払うのではなく、根抵当権の担保限度額に相当する金額を支払うことで、根抵当権を消滅させる仕組みです。
根抵当権の消滅請求ができる条件
1. 元本が確定していること
消滅請求ができるのは、元本が確定した後です。元本確定前は、担保される債権が一時的に存在しなくなっても根抵当権は消滅しないため、消滅請求をすることはできません。元本は、定められた確定期日の到来や、法律上の一定の事由によって確定します。
2. 現存する債務が極度額を超えていること
元本確定後に現に存在する債務の額が、極度額を超えていなければなりません。極度額とは、根抵当権によって担保される限度額です。
3. 請求できる立場にあること
消滅請求ができるのは、次のいずれかに該当する人です。
- 他人の債務を担保するために根抵当権を設定した者
- 根抵当不動産の所有権を取得した第三者
- 根抵当不動産の地上権を取得した第三者
- 根抵当不動産の永小作権を取得した第三者
- 根抵当不動産について、第三者に対抗できる賃借権を取得した第三者
根抵当権の消滅請求の手続き
請求できる人は、極度額に相当する金額を根抵当権者に払い渡します。払い渡しに代えて、同額を供託することもできます。払い渡しまたは供託により、弁済の効力が生じます。
手続きを検討する際は、元本が確定しているか、現存債務が極度額を超えているか、請求者が法律上認められた立場にあるか、支払いまたは供託する金額が極度額相当額かを確認する必要があります。
まとめ
根抵当権の消滅請求は、元本確定後に、現存する債務が極度額を超えている場合に利用できる制度です。請求できるのは、他人の債務を担保した設定者や、根抵当不動産について一定の権利を取得した第三者です。極度額相当額を払い渡す、または供託することで弁済の効力が生じます。元本確定前には請求できない点に注意しましょう。
