売買契約では、売主は契約で定めた内容に合う物や権利を買主に移転しなければなりません。引き渡された物や移転された権利が契約の内容に合わない場合、買主は売主に対して契約不適合責任を追及できます。
契約不適合責任とは
契約不適合の意味
契約不適合とは、引き渡された目的物が、契約で予定された種類・品質・数量に適合しないことです。たとえば、麦100キログラムを注文したにもかかわらず米100キログラムが引き渡された場合は、種類に関する契約不適合となります。
また、物そのものだけでなく、売主が移転した権利が契約内容に合わない場合も対象です。購入した土地の一部について第三者の所有権が残っているケースなどが挙げられます。
買主が行使できる主な権利
- 追完請求権
- 代金減額請求権
- 損害賠償請求権
- 契約解除権
追完請求や代金減額請求をした後でも、要件を満たせば損害賠償請求や契約解除を妨げられるわけではありません。
買主の追完請求権とは
追完請求の内容と要件
契約不適合があるとき、買主は売主に対し、契約どおりの状態にするよう請求できます。方法は、主に次の3つです。
- 目的物を修補する
- 契約に合う代替物を渡す
- 不足している数量を追加で渡す
この請求は、特定物か種類物かを問わず、また売主に帰責事由があるかどうかにかかわらず行えます。ただし、不適合が買主の責任で生じた場合は、追完を請求できません。
売主が別の方法で追完できる場合
買主が方法を指定しても、その方法と異なる対応が買主に不相当な負担をかけない場合、売主は別の方法で追完できます。
買主の代金減額請求権とは
原則:追完の催告後に代金を減額できる場合
代金減額請求は、原則として直ちにできません。買主はまず、相当な期間を定めて追完を求める必要があります。その期間内に売主が追完しなければ、不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます。
ただし、不適合が買主の責任で生じた場合は、代金減額請求もできません。
例外:催告をせず直ちに請求できる場合
次の場合は、追完を求める催告をせず、直ちに代金減額を請求できます。
- 追完が不可能なとき
- 売主が追完を拒絶する意思を明確に示したとき
- 決められた日時や期間内に追完されなければ契約目的を達成できず、その時期を過ぎたとき
- 催告しても追完される見込みがないことが明らかなとき
つまり、原則は「催告後の代金減額」であり、上記の事情がある場合に限って催告なしの請求が認められます。
契約不適合責任を追及できる期間
種類・品質の不適合に関する通知期間
目的物の種類または品質に契約不適合がある場合、買主は、不適合を知った時から1年以内に、その内容を売主へ通知しなければなりません。通知をしないと、原則として追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除ができなくなります。
ただし、売主が引渡し時に不適合を知っていた場合、または重大な過失によって知らなかった場合は、この1年の制限は適用されません。
数量・権利の不適合と消滅時効
1年以内の通知が必要となるのは、種類または品質の不適合です。数量や権利の不適合にはこの通知期間は適用されません。ただし、これらの権利も無期限ではなく、原則として不適合を知った時から5年、または目的物の引渡し時から10年の消滅時効に注意が必要です。
