子の法律上の父親は、婚姻日・婚姻の解消や取消しの日と出生日の関係などから推定されます。ここで重要になるのが嫡出推定と懐胎時期の推定です。
嫡出推定とは?婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定される
嫡出推定の基本的な意味
嫡出子とは、婚姻した夫婦間の子をいいます。民法上、次の子は、当該婚姻における夫の子と推定されます。
- 妻が婚姻中に懐胎した子
- 婚姻前に懐胎したものの、婚姻成立後に生まれた子
懐胎時期の推定とは?出生時期から婚姻中に懐胎したかを判断する
懐胎時期の推定の内容
民法は、出生日と婚姻・婚姻の解消や取消しの日から、子をいつ懐胎したかを次のように推定しています。
| 子の出生時期 | 推定される懐胎時期 |
|---|---|
| 婚姻成立の日から200日以内 | 婚姻前に懐胎 |
| 婚姻成立の日から200日を経過した後から、婚姻の解消・取消しの日から300日まで | 婚姻中に懐胎 |
嫡出推定との関係
懐胎時期の推定は、嫡出推定との関係で適用されます。例えば、2025年1月10日に婚姻し、同年9月1日に子が生まれた場合、婚姻成立の日から200日を経過した後に出生しているため、婚姻中に懐胎したものと推定され、夫の子と推定されます。
一方、2025年1月10日の婚姻後、同年5月1日に子が生まれた場合は、婚姻成立の日から200日以内です。そのため婚姻前に懐胎したものと推定されますが、婚姻成立後に出生しているため、当該婚姻における夫の子と推定されます。
複数回の婚姻や父子関係に争いがある場合の扱い
懐胎から出生までに母が複数回婚姻していた場合
母が子を懐胎した時から出生時までの間に複数回婚姻していた場合、嫡出推定が重なることがあります。このときは、出生に最も近い婚姻の夫の子と推定されます。その推定が嫡出否認によって否認された場合は、否認された夫との婚姻を除き、出生に最も近い婚姻の夫の子と推定されます。
嫡出推定を覆すための嫡出否認
嫡出推定により子の父が定められる場合、父、子、母または一定の前夫は、嫡出否認の訴えにより、子が嫡出であることを否認できます。
- 父:子の出生を知った時から3年以内
- 子:出生時から3年以内
- 母:子の出生時から3年以内
- 前夫:子の出生を知った時から3年以内
父の否認権は子または親権を行う母に対して、子の否認権と母の否認権は父に対して、前夫の否認権は父および子または親権を行う母に対して行使します。
なお、772条4項による嫡出推定については、嫡出否認の裁判が確定したことを知った時から1年以内に訴えを提起しなければなりません。
嫡出推定が及ばない場合
夫が長期間にわたり刑事施設に収容されていたなど、夫による懐胎が不可能な事情がある場合は、嫡出推定が及ばないことがあります。この場合は、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによって父子関係を争います。この訴えには、嫡出否認の訴えのような出訴期間の制限はありません。
まとめ:婚姻日・出生日から法律上の父親が推定される
嫡出推定とは、一定の要件を満たす子を当該婚姻における夫の子と推定する制度です。懐胎時期の推定は、出生日を基準に婚姻前または婚姻中の懐胎かどうかを判断するルールです。婚姻・婚姻の解消や取消しと出生の時期によって適用される推定が異なるため、父子関係を争う場合は、適切な手続と期限を確認する必要があります。
