相続の単純承認とは?法定単純承認になるケースをわかりやすく解説

相続の単純承認とは、被相続人の権利と義務を無制限に引き継ぐことです。相続放棄も限定承認もしない、通常の相続方法といえます。

単純承認をするために、特別な手続や方式は必要ありません。ただし、一定の行為をした場合や、決められた期間内に手続をしなかった場合は、本人が単純承認をしたつもりでなくても、法律上は単純承認をしたものとみなされます。これを法定単純承認といいます。

相続の単純承認とは

民法920条の単純承認は、被相続人の権利と義務を、制限なく承継することです。預貯金や不動産などの財産だけでなく、被相続人の債務も引き継ぎます。

これに対し、相続放棄は被相続人の権利義務の一切を承継しない方法です。限定承認は、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務や遺贈を弁済し、残余があれば相続する方法です。相続放棄と限定承認には、家庭裁判所への申述が必要です。

法定単純承認になる3つのケース

1.相続財産の全部または一部を処分したとき

相続人が、相続財産の全部または一部を処分すると、原則として法定単純承認になります。

ただし、財産を保存するための保存行為や、民法602条に定める期間を超えない短期の賃貸は、この扱いから除かれます。相続財産に関する行為が、すべて処分に当たるわけではありません。

2.3か月以内に相続放棄・限定承認をしなかったとき

自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内に、相続放棄または限定承認をしなければ、法律上、単純承認をしたものとみなされます。

この3か月は、被相続人が亡くなった日ではなく、自己のために相続開始があったことを知った時が起算点です。相続放棄や限定承認をする場合は、期間内に家庭裁判所へ申述します。

3.相続放棄・限定承認後に財産を隠すなどしたとき

相続放棄や限定承認をした後でも、次の行為をすると法定単純承認となります。

  • 相続財産の全部または一部を隠匿する
  • 相続財産の全部または一部を消費する
  • 相続財産を悪意で財産目録に記載しない

ただし、相続放棄によって新たに相続人となった者が相続の承認をした後は、この扱いになりません。

まとめ

単純承認とは、被相続人の権利と義務を無制限に引き継ぐことです。特別な手続は不要ですが、次の場合は法定単純承認となります。

  1. 相続財産の全部または一部を処分したとき
  2. 自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内に相続放棄・限定承認をしなかったとき
  3. 相続放棄・限定承認後に相続財産を隠匿・消費するなどしたとき

保存行為や一定の短期賃貸など、例外もあるため、相続財産を扱う際は注意が必要です。