行政庁に法令に基づく申請をしたにもかかわらず、相当の期間が経過しても何の処分もされないことがあります。このような状態は、行政不服審査法上の「不作為」に当たる可能性があります。
ただし、法令に基づかない単なる要望や相談などに回答がない場合まで、不作為として審査請求できるわけではありません。この記事では、不作為の意味や要件、審査請求先と手続の流れを解説します。
不作為についての審査請求とは
不作為の意味
行政不服審査法上の不作為とは、法令に基づく申請を受けた行政庁が、相当の期間が経過しても何らの処分もしないことです。
一方、行政庁への相談や制度についての質問に返事がないだけでは、行政不服審査法上の不作為には該当しません。また、すでに許可や不許可などの処分がされている場合は、処分の内容を争う審査請求の問題です。
不作為の審査請求で求められること
不作為について審査請求をするには、次の要件を満たす必要があります(行政不服審査法3条)。
- 法令に基づいて、行政庁に処分を申請したこと
- 申請から相当の期間が経過していること
- それにもかかわらず、行政庁が何らの処分もしていないこと
不作為についての審査請求が認められる要件
法令に基づく申請であること
対象となるのは、法令によって認められた申請です。法令上の根拠がない要望、相談、行政サービスへの問い合わせは、この制度の対象になりません。
申請から相当の期間が経過していること
申請直後など、相当の期間が経過していない段階では、不作為とはいえません。
行政庁が何らの処分もしていないこと
すでに許可、不許可、認定などがされた場合、不作為についての審査請求はできません。処分の結論に不服があるのか、そもそも処分がされていないのかを区別する必要があります。
不作為について審査請求をする相手と手続
審査請求先は審査庁
審査請求先は、行政不服審査法4条や個別の法律・条例で定められる「審査庁」です。処分庁等に上級行政庁がない場合などは処分庁等に請求し、それ以外では上級行政庁または最上級行政庁に請求します。上級行政庁とは、行政事務について処分庁等を指揮監督する権限を持つ行政庁です。法律や条例に特別の定めがある場合は、その定めに従います。
審査請求後の基本的な流れ
- 審査庁に審査請求をする
- 原則として、審査庁に所属する審理員が審理する
- 審査請求人や関係する行政庁から主張・証拠を提出させる
- 審理員が審理員意見書を審査庁に提出する
- 審理員意見書を踏まえ、審査庁が裁決する
ただし、法律上、審理員の指名が不要とされる場合もあります。また、最上級行政庁に審査請求をした場合には、審理員意見書を踏まえて行政不服審査会に諮問し、その答申を受けた上で裁決をします。
不作為についての審査請求に期間制限はあるか
処分についての審査請求には、原則として処分を知った日の翌日から3か月などの期間制限があります。これに対し、不作為についての審査請求には、処分の場合のような期間制限はありません。ただし、申請から相当の期間が経過していることは必要です。
まとめ|申請後に処分がない場合は不作為の要件を確認する
不作為とは、法令に基づく申請に対して、行政庁が相当の期間が経過しても何らの処分もしないことです。審査請求を検討するときは、申請の法令上の根拠、経過した期間、処分の有無を確認しましょう。すでに処分がされている場合は、不作為ではなく、その処分自体に対する審査請求の問題となります。
