審査請求の執行停止とは?要件・種類・取消しを解説

1. 審査請求の執行停止とは

1-1. 執行停止の意味

行政処分に不服があり審査請求をしても、原則として、その処分の効力や執行、関連する手続は止まりません。これを執行不停止の原則といいます。

もっとも、例外として処分の効力・執行・手続の続行を止めることができます。この制度が、行政不服審査法25条の執行停止です。

1-2. 執行停止の対象

停止できる対象は、次のとおりです。必要に応じて、全部ではなく一部だけを止めることもできます。

  • 処分の効力
  • 処分の執行
  • 手続の続行

また、一定の場合には、これら以外の措置がとられることもあります。

2. 執行停止の種類と要件

2-1. 職権による執行停止

処分庁の上級行政庁、または処分庁自身である審査庁は、審査請求人から申立てがなくても、必要があると認めれば職権で執行停止ができます。処分の効力・執行・手続の続行の全部または一部を止められるほか、その他の措置をとることも可能です。

2-2. 申立てによる裁量的な執行停止

審査請求人が申し立てた場合も、執行停止が認められることがあります。処分庁の上級行政庁または処分庁である審査庁は、必要があると判断すれば、執行停止やその他の措置をとれます。

一方、これらに該当しない審査庁は、処分庁の意見を聴いたうえで、処分の効力・執行・手続の続行を停止できます。ただし、その他の措置をとることはできません。

2-3. 申立てによる義務的な執行停止

審査請求人の申立てがあり、処分、処分の執行または手続の続行により重大な損害を避けるために緊急の必要があると認められるときは、審査庁は執行停止をしなければなりません。

ただし、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある場合、または審査請求の本案に理由がないとみえる場合は、この限りではありません。

2-4. 処分の効力を停止する場合の制限

処分の効力の停止以外の措置によって目的を達成できるときは、処分の効力そのものを停止できません。

審理員は、必要があると認めれば、審査庁に執行停止をすべき旨の意見書を提出できます。意見書が提出された場合、審査庁は速やかに執行停止をするかどうかを決定しなければなりません。

3. 執行停止の取消し

3-1. 取消しが認められる場合

執行停止をした後、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかになった場合や、そのほか事情が変更した場合には、審査庁は執行停止を取り消すことができます。

まとめ

  • 審査請求をしても、処分の効力や執行は原則として止まりません。
  • 例外として、職権または申立てによる執行停止が認められます。
  • 重大な損害を避ける緊急の必要がある場合は、審査庁に執行停止義務が生じます。ただし、法律上の例外があります。
  • 公共の福祉への重大な影響や事情の変更があれば、執行停止を取り消すことができます。