処分の取消しの訴えとは?審査請求との関係や例外を解説

行政庁の処分に不服がある場合、裁判所にその処分を取り消すよう求めることができます。この訴訟を処分の取消しの訴えといいます。

処分の取消しの訴えとは

行政庁の処分などの取消しを求める訴訟

処分の取消しの訴えは、行政事件訴訟法3条2項に定められた抗告訴訟の一つです。行政庁が行った「処分その他公権力の行使に当たる行為」について、違法であるとして裁判所に取り消しを求めます。

「処分」に当たる行為

行政庁が法令に基づいて行う行為が、すべて処分になるわけではありません。判例上の処分とは、国や地方公共団体の行為のうち、その行為によって国民の権利義務を直接形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいいます。

そのため、取消しの訴えを提起できるかを判断する際には、問題となっている行為が法律上の「処分」に当たるかが重要です。

審査請求に対する裁決は別の訴訟の対象

審査請求に対する裁決や決定などは、処分の取消しの訴えの対象には含まれません。裁決そのものの違法を争う場合は、別の裁決の取消しの訴えを提起します。

原則として、元の処分の違法性は処分の取消しの訴えで、裁決に固有の手続違反などは裁決の取消しの訴えで争います。

処分の取消しの訴えと審査請求の原則的な関係

原則は自由選択主義

処分について審査請求ができる場合でも、行政事件訴訟法8条1項本文により、審査請求をするか、直ちに処分の取消しの訴えを提起するかを原則として選べます。つまり、通常は審査請求を経ずに訴訟を起こすことが可能です。

例外として審査請求前置主義が適用される場合

ただし、法律に「審査請求に対する裁決を経た後でなければ、処分の取消しの訴えを提起できない」と定められている場合があります。これを審査請求前置主義といいます。

単に審査請求ができるというだけでは、審査請求前置になるとは限りません。先に審査請求が必要かどうかは、処分の根拠となる法律の定めを確認する必要があります。

審査請求を経ずに訴訟を提起できる例外

審査請求前置主義があっても訴訟を提起できる場合

審査請求前置の定めがある場合でも、行政事件訴訟法8条2項により、次のいずれかに該当すれば裁決を待たずに訴訟を提起できます。

  1. 審査請求をした日から3か月を過ぎても裁決がない場合
  2. 処分やその執行、手続の続行による著しい損害を避けるため、緊急の必要がある場合
  3. その他、裁決を経ないことについて正当な理由がある場合

審査請求が誤って却下された場合

適法な審査請求が審査庁によって誤って却下された場合、判例上、審査請求前置が必要な場合でも、実体的な裁決を経ずに元の処分の取消しの訴えを提起できるとされています。これは、行政事件訴訟法8条2項の3つの例外とは別に、判例上認められた扱いです。

審査請求中に取消訴訟を提起した場合

処分の取消しの訴えを起こす前に審査請求が別途されている場合、裁判所は、その裁量により、審査請求に対する裁決があるまで訴訟手続を中止できます。審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないときは、その期間が経過するまで中止できます。

まとめ

処分の取消しの訴えは、行政庁の処分などの取消しを裁判所に求める訴訟です。審査請求との関係では、原則として両者を自由に選べます。

ただし、法律に審査請求前置の定めがある場合は、先に審査請求を行う必要があります。その場合でも、3か月裁決がないとき、著しい損害を避ける緊急の必要があるとき、その他正当な理由があるときなどは、裁決を経ずに訴訟を提起できます。