行政事件訴訟で誤った教示を受けた場合は?被告変更の手続きを解説

行政庁から示された被告が間違っていた場合でも、一定の条件を満たせば、裁判所に被告変更を申し立てることができます。

この記事では、行政事件訴訟における教示の内容と、誤った教示を理由とする被告変更の条件・手続きを解説します。

行政事件訴訟における「教示」とは

行政庁が教示しなければならない内容

教示とは、行政庁が処分や裁決の相手方に対し、行政事件訴訟を提起するために必要な情報を知らせることです。

取消訴訟を提起できる処分・裁決を書面で行う場合、行政庁は、相手方に次の事項を教示しなければなりません(行政事件訴訟法46条1項)。

  • 取消訴訟の被告とすべき者
  • 訴えを提起できる期間(出訴期間)
  • 審査請求を先に行わなければならない旨の定めがある場合は、その旨

口頭で行う処分・裁決は、この教示義務の対象外です。なお、取消訴訟の被告は、原則として処分を行った行政庁そのものではなく、その行政庁が所属する行政主体です。

その他の教示

法律上、処分についての審査請求に対する裁決に対してのみ取消訴訟を提起できる旨の定めがある場合、行政庁は、その定めがあることを書面で教示しなければなりません(46条2項)。

また、形式的当事者訴訟を提起できる処分・裁決をする場合には、訴訟の被告とすべき者と出訴期間を書面で教示しなければなりません(46条3項)。

誤った教示を受けた場合は被告変更ができる

被告変更が認められる条件

行政事件訴訟法15条1項では、誤った教示をしたことにより、原告が故意または重大な過失によらないで被告とすべき者を誤ったときは、裁判所が被告変更を許すことができると定めています。

  • 行政庁から誤った教示を受けたこと
  • 被告とすべき者を誤ったこと
  • 原告の誤りが故意によるものではないこと
  • 原告の誤りが重大な過失によるものではないこと

誤った教示があったとしても、原告に故意または重大な過失がある場合は、この制度による被告変更が認められません。

被告変更の申立て

被告変更は自動的に行われません。原告の申立てにより、裁判所が決定をもって被告変更を許す仕組みです。

最終的に被告変更を認めるかどうかを判断するのは裁判所です。

まとめ

行政庁は、一定の処分や裁決を書面で行う際、取消訴訟の被告や出訴期間などを教示しなければなりません。

誤った教示により、故意または重大な過失によらず被告とすべき者を誤った場合は、行政事件訴訟法15条1項に基づき、裁判所に被告変更を申し立てることができます。ただし、変更には裁判所の決定が必要です。