無効等確認の訴えの原告適格とは?予防訴訟と補充訴訟の違いを解説

無効等確認の訴えの原告適格は、行政事件訴訟法36条で定められています。誰でも提起できるわけではなく、主に予防訴訟と補充訴訟に分けて考えます。

無効等確認の訴えとは?

処分や裁決の効力などを確認する訴訟

無効等確認の訴えは、行政庁の処分や裁決について、次のような事項の確認を求める訴訟です。

  • 処分・裁決が存在するか
  • 処分・裁決が存在しないか
  • 処分・裁決が有効か
  • 処分・裁決が無効か

一般的に事例が多いのは、処分・裁決の無効確認を求める訴えです。処分に重大かつ明白な瑕疵がある場合には、取消訴訟を提起しなくても、その効力を否定することができます。

無効等確認の訴えには、出訴期間の定めがなく、審査請求前置主義も適用されません。

原告適格は行政事件訴訟法36条で定められている

無効等確認の訴えでは、取消訴訟の原告適格を定める9条ではなく、行政事件訴訟法36条が原告適格を定めています。同条は、原告を「処分に続く処分で損害を受けるおそれのある者」または一定の要件を満たす者に限定しています。

無効等確認の訴えの原告適格は「予防訴訟」と「補充訴訟」に分かれる

予防訴訟:処分に続く処分で損害を受けるおそれがある者

予防訴訟とは、処分や裁決に続く処分によって、損害を受けるおそれがある者が提起する訴訟です。

補充訴訟:法律上の利益があり、ほかの訴えでは目的を達成できない者

補充訴訟として無効等確認の訴えを提起するには、次の2つを満たす必要があります。

  1. 処分・裁決の無効等を確認することについて、法律上の利益があること
  2. 処分・裁決の存否または効力の有無を前提とする「現在の法律関係に関する訴え」では、目的を達成できないこと

つまり、別の訴訟で目的を達成できる場合には、無効等確認の訴えは利用できません。

予防訴訟と補充訴訟の違い

区分 中心となる要件 訴訟の目的
予防訴訟 後続の処分で損害を受けるおそれ 後続処分による損害を防ぐ
補充訴訟 法律上の利益があり、ほかの訴えでは目的を達成できない ほかの訴訟では解決できない問題について効力などを確認する

両者を一体の要件として考える一元説もありますが、立法者意思は、予防訴訟と補充訴訟を分ける二元説です。

補充訴訟で問題となる「現在の法律関係に関する訴え」とは?

現在の法律関係に関する訴えが先に検討される

補充訴訟では、処分・裁決の効力を前提とした現在の法律関係に関する訴えで、目的を達成できるかを検討します。その訴えで目的を達成できるなら、無効等確認の訴えは補充的に利用できません。

実質的当事者訴訟と争点訴訟

現在の法律関係に関する訴えには、主に次の2種類があります。

  • 実質的当事者訴訟:公法上の法律関係について確認などを求める訴訟
  • 争点訴訟:私法上の法律関係に関する訴訟で、処分・裁決の存否または効力の有無が争われるもの

したがって、無効等確認の訴えの原告適格を判断する際は、予防訴訟に当たるのか、それとも法律上の利益と補充性を備えた補充訴訟に当たるのかを確認することが重要です。