地方自治体では、首長と議会の議員が、いずれも住民の直接選挙で選ばれます。そのため、首長と議会の意見が一致しないことがあります。このような場合に関係する制度が、地方自治法の「再議」です。
地方自治法の再議とは?首長が議会に議決をやり直させる制度
再議の意味
再議とは、議会の議決に異議があるとき、首長が理由を示して、議会にもう一度審議・議決を求める制度です。首長が議決を一方的に取り消す制度ではなく、議会に再検討を促す仕組みといえます。
再議には、首長の判断で行うものと、法律上行わなければならないものの2種類があります。
- 任意の再議(一般的拒否権)
- 義務的な再議(特別的拒否権)
任意の再議と義務的な再議の違い
任意の再議は、議会の議決に首長が異議を持った場合に、首長の判断で行います。一方、議決が議会の権限を超えている場合や、一定の経費を削除・減額した場合などは、法律上、首長に再議が義務付けられています。
任意で行う再議の要件と効果
任意の再議を行うための条件
地方自治法上の特別な定めがない限り、首長は、議会の議決に異議があれば再議を求められます。再議には理由を示す必要があり、原則として議決の日から10日以内に行います。ただし、条例の制定・改廃や予算の議決は、議決の送付を受けた日から10日以内です。
再議後に議会が同じ議決をした場合
再議の後、議会が再び同じ議決をした場合、その議決は確定します。ただし、条例の制定・改廃または予算については、出席議員の3分の2以上の同意が必要です。
なお、首長が再議に付した議案を議会が再び可決しても、首長は議会を解散できるわけではありません。
法律上、首長に義務付けられている再議
議会の議決や選挙が違法・権限外の場合
議会の議決や選挙が、議会の権限を超えている、法令に違反している、または会議規則に違反していると首長が認める場合、首長は理由を示して再議に付し、選挙については再選挙を行わせなければなりません。
それでも違法または権限外の状態が残る場合、都道府県知事は総務大臣、市町村長は都道府県知事に対し、議決・選挙の日から21日以内に審査を申し立てられます。違法などと認められれば、総務大臣または都道府県知事は、議決・選挙を取り消す裁定をすることができます。裁定に不服がある場合は、議会または首長が裁定の日から60日以内に裁判所へ訴えを提起できます。
義務に属する経費を削除・減額した場合
法令により負担する経費、法律に基づき行政庁の職権で命じられる経費など、自治体の義務に属する経費を議会が削除・減額した場合、首長は理由を示して再議に付さなければなりません。それでも削除・減額されたときは、首長は、その経費と、それに伴う収入を予算に計上して支出できます。
災害・感染症対策に必要な経費を削除・減額した場合
非常の災害による応急・復旧施設に必要な経費や、感染症予防に必要な経費を議会が削除・減額した場合も、首長は再議に付さなければなりません。再議後も削除・減額されたときは、首長はその議決を不信任の議決とみなすことができます。義務に属する経費の場合とは、再議後の効果が異なる点に注意が必要です。
再議のポイントを整理
- 再議は、首長が議会の議決を取り消す制度ではなく、再審議・再議決を求める制度です。
- 任意の再議は、原則として10日以内に理由を示して行います。
- 条例や予算では、再議後に同じ議決を成立させるため、出席議員の3分の2以上の同意が必要です。
- 違法な議決や一定の経費の削除・減額では、首長に再議が義務付けられます。
