選挙運動の自由とは?戸別訪問禁止が合憲とされた理由を解説

選挙運動の自由は、憲法21条1項の「表現の自由」として保障されます。

一方、公職選挙法は、選挙運動の自由について各種の規制を設けています。戸別訪問の禁止も、その一つです。

選挙運動の自由とは

選挙運動の自由は、憲法21条1項の表現の自由として保障されます。ただし、選挙運動の自由が、あらゆる手段・方法を無制限に認めることを意味するわけではありません。

戸別訪問禁止が合憲とされた理由

戸別訪問という一つの方法を制限するにとどまるから

最高裁判所は、1981年6月15日、戸別訪問の禁止について憲法21条1項に違反しないと判断しました。

戸別訪問が禁止されると、戸別訪問という手段・方法による意見表明は制約されます。しかし、禁止されるのはあくまで戸別訪問という手段・方法であり、戸別訪問以外の手段・方法による意見表明の自由まで制約されるものではありません。

そのため、最高裁判所は、戸別訪問の禁止による制約を、戸別訪問という手段・方法の禁止に伴う間接的・付随的な制約にすぎないと考えました。

選挙の自由と公正を確保する利益が大きいから

戸別訪問を禁止することには、戸別訪問という手段・方法がもたらす弊害を防止し、選挙の自由と公正を確保するという利益があります。

最高裁判所は、戸別訪問の禁止によって失われる、戸別訪問という手段・方法による意見表明の自由と、禁止によって得られる選挙の自由と公正の確保という利益を比較した結果、禁止によって得られる利益は、失われる利益に比べてはるかに大きいと判断しました。

判例の結論

判例名は「戸別訪問禁止の合憲性」(最判昭56・6・15)です。戸別訪問禁止は、選挙運動の自由全体を制約するものではなく、戸別訪問という一つの手段・方法を制限するものです。そして、選挙の自由と公正を確保する利益が大きいことから、憲法21条1項に違反せず、合憲とされました。

まとめ

  • 選挙運動の自由は、憲法21条1項の表現の自由として保障される
  • 公職選挙法は、選挙運動の自由について各種の規制を設けている
  • 戸別訪問禁止は、戸別訪問という一つの手段・方法を制限するにとどまる
  • 禁止によって得られる選挙の自由と公正の確保という利益が、失われる利益を上回るため、合憲と判断された