憲法が保障する人権は重要な権利ですが、常に無制限に認められるとは限りません。ある人の人権を保障すると、別の人の人権と衝突することがあるためです。
このような人権制限が憲法に違反するかを判断する方法の一つが、比較衡量論です。
比較衡量論とは
人権制限による利益を比較する考え方
比較衡量論とは、法令などが憲法に違反していないかどうかを判断する際の違憲審査基準の一つです。「利益衡量論」と呼ばれることもあります。
具体的には、次の2つを比較します。
- 人権を制限することによって得られる利益
- 人権を制限することによって失われる利益
そして、前者が大きい場合には、その人権制限を合憲とします。
比較衡量論が必要となる理由
人権を無制限に保障すると、ある人の人権と他の人の人権が衝突する場合があります。そのため、規制によって得られる利益と、規制によって制限される人権上の利益を比較し、調整する必要があります。
二重の基準論との違い
比較衡量論が、規制によって得られる利益と失われる利益を比較するのに対し、二重の基準論は、精神的自由と経済的自由を区別します。
二重の基準論では、精神的自由は経済的自由に対して優越的地位にあるとして、精神的自由を制約する立法について、経済的自由を制約する立法よりも厳格な審査基準を用いるべきだと考えます。
比較衡量論を用いた判例
表現の自由の制限が問題となった博多駅テレビフィルム提出命令事件(最大決昭44・11・26)は、比較衡量論を採用した判例として挙げられます。
まとめ
比較衡量論とは、違憲審査基準の一つであり、人権を制限することによって得られる利益と、制限によって失われる利益を比較する考え方です。前者が大きい場合には合憲とします。二重の基準論とは異なり、利益の比較を中心とする点が特徴です。
