要指導医薬品の対面販売規制は合憲?職業活動の自由との関係を解説

要指導医薬品について、薬剤師が対面で情報提供を行い、薬学的知見に基づく指導をすることを求める規制が問題となりました。最高裁は、2021年(令和3年)3月18日、この対面販売規制は憲法22条1項に違反しないと判断しました。

要指導医薬品の対面販売規制は合憲とされた

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律は、要指導医薬品の販売等について、薬剤師による対面での情報提供と、薬学的知見に基づく指導を求めています。そのため、要指導医薬品をインターネットで販売することは認められていません。

販売業者側は、この規制が違憲であり、要指導医薬品をネット販売する権利があると主張しました。しかし最高裁は、規制を合憲と判断しました。

職業活動の自由と対面販売規制の関係

憲法22条1項の「職業選択の自由」は、どの職業に就くかを決める自由だけを意味しません。選んだ職業を実際に行う自由、つまり営業の自由も含まれます。

もっとも、この自由は「公共の福祉に反しない限り」保障されるものです。したがって、職業活動に一定の規制が加えられることがあります。

規制の合憲性は、規制を単純に「消極的規制」や「積極的規制」に分類して決めるものではありません。規制の目的、必要性、内容、制限される自由の性質や程度を比較して判断します。

最高裁が合憲と判断した理由

職業を選ぶ自由そのものを制限していない

対面販売規制は、要指導医薬品の販売等について、対面での情報提供と薬学的知見に基づく指導を求めるものです。そのため、職業選択そのものではなく、職業活動の内容や態様を制限する規制にとどまると評価されました。

制限の程度が大きいとはいえない

最高裁は、要指導医薬品の市場規模や規制の期間にも触れ、対面販売を義務付けることによる職業活動への制限は大きくないと判断しました。

立法府の判断に合理性がある

規制の目的が公共の福祉に合致する場合、具体的な規制の必要性や合理性については、まず立法府の判断が尊重されます。本件では、対面での情報提供・指導を求める規制について、立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えたとはいえないとされました。

まとめ

要指導医薬品の対面販売規制について、最高裁は憲法22条1項に違反しないと判断しました。職業活動の自由は保障されますが、公共の福祉のために一定の制約を受けます。本件規制は、職業選択そのものではなく販売方法を制限するもので、制限の程度も大きくありませんでした。そのため、対面販売を求めることには必要性と合理性があり、規制は合憲とされたのです。