適正手続の保障とは?憲法31条の意味と4つの内容を解説

適正手続の保障とは?憲法31条の意味

憲法31条が定める内容

憲法31条は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と定めています。

適正手続の保障とは、生命や自由を奪い、刑罰を科す場合には、法律の定める適正な手続によらなければならないという原則です。単に手続を法律に定めればよいのではなく、その手続や刑罰の内容自体も適正でなければなりません。

適正手続の保障が必要とされる理由

適正手続は、刑事手続上の基本原則です。また、憲法33条以下の令状主義や弁護人依頼権などの一般的な規定でもあります。「法定手続」と呼ばれることもあります。

適正手続の保障に含まれる4つの内容

適正手続の保障には、次の4つの内容が含まれると解されています(通説)。

① 手続の法定

刑事手続は、法律によって定められていなければなりません。国の機関が法律上の根拠なしに、自由に手続を進めることは許されません。ただし、法律に定めがあるだけでは足りず、手続の内容が適正であることも必要です。

② 手続の適正

法律で定められた手続そのものが、適正でなければなりません。例えば、逮捕や捜索・押収には、原則として裁判官の令状が必要です。また、どのような犯罪の嫌疑で訴追されているかを知らされ、自分の言い分を聞いてもらう「告知と聴聞」も含まれます。

なお、逮捕については、現行犯逮捕や刑事訴訟法に規定する緊急逮捕が例外として認められています。

例えば、捜査機関が裁判官の令状なく住居内を捜索し、書類を押収した場合、その手続が適正かどうかが問題となります。

③ 実体の法定

どのような行為が犯罪となり、どのような刑罰が科されるのかは、法律で定めなければなりません。これは罪刑法定主義の内容です。罪刑法定主義を直接規定した条文は憲法にはありませんが、31条もその根拠となります。行為をした後に作られた法律によって、その行為を犯罪として処罰することも許されません。

④ 実体の適正

法律に犯罪や刑罰を定めていても、その内容が適正でなければなりません。国は、法律を制定すればどのような刑罰でも科せるわけではありません。憲法36条が拷問や残虐な刑罰を絶対に禁止していることも、この考え方と関係します。

4つの内容はすべて満たす必要がある

適正手続の保障は、4つのうち一つだけを満たせばよいというものではありません。手続と刑罰の内容の両面で、法定と適正のすべてが求められます。

区分 意味
手続の法定 手続が法律で定められていること
手続の適正 法律で定められた手続が適正であること
実体の法定 刑罰の実体が法律で定められていること
実体の適正 法律で定められた実体規定が適正であること

憲法31条と「告知と聴聞」の関係

告知と聴聞は、4つの内容のうち特に「手続の適正」に含まれる保障です。どのような犯罪の嫌疑で訴追されているかを知らされ、自分の言い分を聞いてもらう機会が保障されなければ、手続が適正であるとはいえません。

最高裁は、第三者の所有物を刑事手続で没収した事件で、所有物を没収される第三者に告知・弁解・防御の機会を与えずに没収することは、憲法31条や29条に反すると判断しました(第三者所有物没収事件・最大判昭37・11・28)。