所在不明の共有者がいるとき持分を取得できる?裁判による持分取得を解説

不動産を共有していると、共有者の一人と連絡が取れず、管理や処分について話し合えないことがあります。このような場合、一定の条件を満たせば、裁判所の裁判によって、所在が分からない共有者の持分を取得できます。

ただし、所在不明を理由に無償で持分をもらえる制度ではありません。持分を取得した共有者に対して、所在等不明共有者は、取得した持分の時価相当額を請求できます。

所在不明共有者の持分は裁判で取得できる

持分取得の裁判とは

不動産が複数人の共有に属し、共有者が他の共有者を知ることができない、またはその所在を知ることができない場合、共有者は裁判所に持分取得を請求できます。裁判所が認めると、所在等不明共有者の持分を請求者に取得させる裁判がされます。

例えば、土地を3人で共有しているものの、1人だけ住所や連絡先が分からず、共有状態を整理できないケースです。残りの共有者が裁判を申し立て、要件を満たせば、所在不明者の持分を取得できる可能性があります。

この制度は、所有権の共有だけでなく、不動産を使用・収益する権利を複数人で共有する「準共有」にも適用されます。

持分を無償でもらえる制度ではない

持分取得の裁判によって持分を取得すると、所在等不明共有者は、取得者に対してその持分の時価相当額を請求できます。したがって、「所在が分からないから、持分を無料で取得できる」という意味ではありません。

持分取得の裁判を利用できる条件と制限

利用できる基本的な条件

  • 対象が不動産の共有持分であること
  • 他の共有者を特定できない、または所在を確認できないこと
  • 共有者が裁判所に持分取得を請求すること

請求者が複数いる場合は、所在等不明共有者の持分を、請求した共有者それぞれの持分割合に応じて分けて取得します。請求者の一人が、当然に持分全体を取得するわけではありません。

持分取得の裁判ができない主な場合

次のような場合は、持分取得の裁判を利用できません。

  • 共有物分割または遺産分割の請求があり、所在等不明共有者以外の共有者が、持分取得の裁判に異議を申し出た場合
  • 所在等不明共有者の持分が相続財産に属し、共同相続人間で遺産分割を行うべき場合で、相続開始から10年を経過していない場合

これらの場合は、持分取得よりも、共有物分割や遺産分割による解決が優先されます。

裁判で持分を取得した後の扱い

取得した持分の帰属

持分取得の裁判により、請求した共有者が所在等不明共有者の持分を取得し、その持分は請求者自身の持分に加わります。請求者が複数いる場合は、裁判で定められた割合に従って取得します。

所在等不明共有者への支払い

所在等不明共有者は、取得者に対して、取得された持分の時価相当額を請求できます。つまり、所在が不明であることと、持分の財産的価値がなくなることは別問題です。持分取得後は、その価値に見合う金銭を請求されることがあります。

まとめ

所在不明の共有者がいる場合でも、不動産の共有者を知ることができない、または所在を知ることができないなどの条件を満たせば、裁判所の持分取得の裁判によって持分を取得できます。

ただし、共有物分割や遺産分割に関する異議がある場合、または相続開始から10年未満の相続財産に関する持分である場合などは利用できません。また、取得後は、所在等不明共有者から持分の時価相当額を請求されることがあります。