地役権は、要役地の便益のために、他人の土地である承役地を利用したり、その利用を制限したりできる権利です。たとえば、公道へ出るために隣接する土地を通行する権利が、通行地役権にあたります。
地役権も財産権であるため、長期間行使しないと、時効によって消滅します。原則は20年間の不行使です(民法291条、166条2項)。ただし、20年の起算点は、地役権が継続的に行使されるものかどうかによって異なります。
地役権は20年間行使しないと時効で消滅する
地役権の時効消滅とは
地役権が設定されているだけで、直ちに消滅するわけではありません。地役権を行使しない状態が20年間続くことが必要です。
たとえば、通路を開設しない通行地役権を長期間行使せず、最後に行使してから20年以上経過した場合には、時効消滅が問題になります。ただし、地役権の性質によって、20年をいつから数えるかが変わります。
20年の起算点は地役権の種類によって異なる
継続的でない地役権は「最後に行使した時」から20年
通路を設けず、必要な場合にだけ利用する通行地役権のように、継続的に行使されない地役権は、最後に行使した時から20年で時効消滅します。
継続的な地役権は「行使を妨げる事実が生じた時」から20年
通行用の通路が開設されているなど、継続的に行使される地役権は、単に最後に使った時から数えるのではありません。地役権の行使を妨げる事実が生じた時から20年で時効消滅します。
共有地や一部不行使の場合の扱い
要役地が共有の場合
要役地を複数人で共有している場合、その共有者の1人について時効の完成猶予または更新があると、その効力は他の共有者にも及びます(民法292条)。
地役権の一部だけを行使しない場合
地役権の対象範囲の一部だけを20年以上まったく行使していない場合、地役権全体ではなく、行使しなかった部分だけが時効消滅します(民法293条)。
承役地が第三者に時効取得された場合
承役地の所有権が第三者に時効取得されたときは、これにより地役権は消滅します(民法289条)。
まとめ:地役権の時効消滅は「20年不行使」が基本
- 継続的でない地役権は、最後に行使した時から20年
- 継続的な地役権は、行使を妨げる事実が生じた時から20年
- 要役地が共有の場合、1人についての時効の完成猶予・更新が他の共有者にも及ぶ
- 地役権の一部だけを行使していない場合は、その部分だけが消滅する
- 承役地が第三者に時効取得された場合、地役権は消滅する
20年が経過したかどうかは、地役権の内容、実際の行使状況、行使を妨げる事実が生じた時期を確認して判断する必要があります。
