特定物債権とは?具体例と善管注意義務をわかりやすく解説

特定物債権では、債務者は目的物を引き渡すまで、どのような注意義務を負うのでしょうか。ここでは、特定物債権の意味や具体例、善管注意義務について解説します。

特定物債権とは、特定物の引渡しを目的とする債権

特定物債権の意味

特定物債権とは、特定物の引渡しを目的とする債権をいいます。

「特定物」とは、物の個性に着目して取引される物です。例えば、中古住宅の引渡しを目的とする債権が特定物債権に該当します。

種類債権との違い

種類債権とは、ビールや米のように同種類の物が多数存在する場合に、一定の種類の物を一定量給付することを目的とする債権です。例えば、ビール1ダースや米100キログラムの給付がこれにあたります。

種類債権は、給付の目的物が具体的に特定されていません。もっとも、民法401条2項により種類債権が特定すると、特定した物が債権の目的物となり、債務者はその物を引き渡すまで善管注意義務を負います。

特定物債権では、引渡しまで善管注意義務を負う

善管注意義務とは

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければなりません(民法400条)。

この義務を「善良な管理者の注意義務」、一般に「善管注意義務」といいます。

善管注意義務が原則で、軽い注意義務が例外となる

善管注意義務が原則

民法上は、善管注意義務が原則です。債務者は、契約その他の債権の発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる、善良な管理者としての注意をもって目的物を保存しなければなりません。

「自己の財産に対するのと同一の注意義務」との違い

善管注意義務よりも軽い注意義務として、自己の財産に対するのと同一の注意義務があります(民法659条)。これは、自分の財産を管理するときと同じ程度の注意を払う義務です。

このほか、「自己のためにするのと同一の注意義務」(民法827条)や「自己の財産におけるのと同一の注意義務」(民法940条1項)も、同じ意味の注意義務です。これらは、善管注意義務の例外にあたります。

まとめ|特定物債権では引渡しまで目的物を保存する

特定物債権とは、物の個性に着目して取引される特定物の引渡しを目的とする債権です。中古住宅の引渡しを目的とする債権などが具体例にあたります。

債務者は、目的物を引き渡すまで、善管注意義務を負います。契約その他の債権の発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければなりません。自己の財産に対するのと同一の注意義務などは、例外として位置づけられます。