連帯債務とは、複数の債務者が、債権者に対してそれぞれ債務の全額を履行する義務を負う仕組みです。通常の分割債務では債務者ごとに一部の債務を負いますが、連帯債務では、債権者が各債務者に債務の全部または一部の履行を請求できます。ここでは、連帯債務の意味と履行請求の方法を説明します。
連帯債務とは
連帯債務の意味
連帯債務は、債務の目的が性質上可分である場合に、法令の規定または当事者の意思表示によって、複数人が連帯して負担する債務です(民法436条)。各連帯債務者は、債権者に対し、債務の全部を履行すべき立場になります。
たとえば、AがBとCに600万円を貸し付け、BとCが連帯して返済する合意をしたとします。この場合、AはBにもCにも、600万円全額の返済を請求できます。
通常の分割債務との違い
分けて履行できる債務について、特約がなければ、各債務者は原則として等しい割合で債務を負います(民法427条)。これが分割債務です。
一方、連帯債務では、債務者同士の内部的な負担割合とは別に、債権者は各債務者へ債務全額の履行を求められます。連帯債務は、当事者の意思表示だけでなく、法令の規定によって成立する場合もあります。
不可分債務との違い
連帯債務は、債務の目的が性質上「可分」であることが前提です。これに対し、内容を性質上分けられない債務は不可分債務となります。
いずれも複数の債務者が全部の履行義務を負うように見えますが、連帯債務は可分な債務について法令や当事者の意思表示で成立し、不可分債務は債務の性質そのものから生じる点が異なります。
連帯債務の履行請求の方法
1人の連帯債務者に請求する
債権者は、連帯債務者のうち1人に対し、債務の全部または一部の履行を請求できます(民法436条)。
複数の連帯債務者に同時に請求する
複数人に対して同時に請求することも可能です。それぞれに全額を請求することも、各人に一部ずつ請求することもできます(民法436条)。
複数の連帯債務者に順次請求する
まず1人に請求し、その後、別の債務者に請求することもできます。債権者は、連帯債務者の1人に対し、または同時もしくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求できます(民法436条)。
連帯債務者の1人に問題があっても他の債務者への請求は可能
連帯債務者の1人について、法律行為の無効や取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務には影響しません(民法437条)。たとえば、Bが未成年者であることを理由に契約を取り消しても、Cの債務には影響しないため、AはCに600万円全額の返済を請求できます。
また、弁済など一定の事由を除き、1人について生じた事情は、他の債務者に当然には及びません(民法441条)。特に、1人へ請求しただけで、他の債務者にも請求したことになるわけではない点に注意が必要です。
まとめ
連帯債務とは、複数の債務者が債務全額について履行義務を負う制度です。債権者は、1人または複数人に対し、同時または順次に、全部または一部の履行を請求できます。1人に無効・取消しの原因があっても、他の債務者の債務には影響しません。ただし、請求の効果は原則として他の債務者に及ばないため、請求先ごとに整理する必要があります。
