消費貸借契約で貸主が負う引渡義務とは?契約不適合時の対応も解説

消費貸借契約は、借主が受け取った金銭や物と同じ種類・品質・数量の物を返す契約です。もっとも、契約の成立時期や利息の有無によって、貸主の引渡義務や、問題のある物が渡された場合の対応が変わります。

消費貸借契約における貸主の引渡義務とは

消費貸借には2つの種類がある

消費貸借には、主に次の2種類があります。

  • 要物契約としての消費貸借:貸主が目的物を実際に引き渡すことで契約が成立します。
  • 書面でする消費貸借:書面または電磁的記録で合意すれば、引渡し前でも契約が成立します。

要物契約では、引渡しそのものが契約成立の要件です。そのため、引渡し前の段階で、通常の意味で貸主の引渡義務が問題になることは多くありません。

これに対し、書面でする消費貸借が成立すると、借主には目的物の引渡しを請求する権利が生じます。貸主は、契約で定めた金銭その他の物を引き渡す義務を負います。

なお、書面でする消費貸借では、借主は貸主から金銭その他の物を受け取るまで契約を解除できます。ただし、解除によって貸主に損害が生じたときは、貸主から損害賠償を請求される可能性があります。

貸主はどのような状態の目的物を引き渡す必要があるか

無利息の場合

無利息の消費貸借では、貸主が消費貸借の目的である物を、その目的として特定した時の状態で引き渡し、または移転することを約束したものと推定されます。

利息付きの場合

利息付きの消費貸借では、貸主は契約の内容に適合した目的物を引き渡さなければなりません。契約の内容に適合しない物を引き渡すと、契約不適合が問題になります。

引き渡された物が契約内容に適合しない場合の対応

利息の有無を問わず価額を返還できる

引き渡された物が種類または品質の点で契約内容に適合しない場合、借主は、その物の価額を返還することができます。この扱いは、無利息・利息付きのどちらにも認められます。

利息付きなら複数の救済手段がある

利息付きの消費貸借で契約不適合がある場合、借主は、次の対応を取ることができます。

  • 契約に適合する代替物の引渡しを請求する
  • 利息の減額を請求する
  • 不適合による損害の賠償を請求する
  • 契約を解除する

まとめ

  • 要物契約では、目的物の引渡しによって消費貸借が成立します。
  • 書面でする消費貸借では、契約成立後、貸主が目的物を引き渡す義務を負います。
  • 無利息の場合は目的物を特定した時の状態、利息付きの場合は契約内容に適合する物が引渡しの基準です。
  • 契約不適合があると、価額の返還や、利息付きの場合の代替物請求・利息減額・損害賠償・解除を検討できます。