権利の契約不適合責任とは?買主が請求できる救済方法を解説

売買契約では、売主は契約の内容に適合する財産権を買主へ移転しなければなりません。ところが、第三者の権利によって買主の権利行使が妨げられたり、権利の一部が買主に移転されなかったりすると、権利の契約不適合となる可能性があります。

この場合、買主は追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などを行使できます。ただし、権利の全部が他人に属していて売主が移転できない場合は、権利移転義務の不履行として別に整理されます。

権利の契約不適合責任とは

売主が契約内容に適合する権利を移転できていない状態

権利の契約不適合とは、売主が買主に移転した権利が、契約の内容に適合しないものをいいます。例えば、売買の目的物に地上権・地役権・質権などの、買主による占有を妨げる権利が存在している場合や、購入した土地の一部が他人の所有で、権利の一部を買主に移転できない場合などです。

権利の一部が他人に属する場合に、その権利の一部を移転しないときも、権利の契約不適合に含まれます。民法565条により、権利の不適合にも、目的物の契約不適合に関する救済規定が適用されます。

権利の全部が他人に属する場合との違い

他人の権利を売買の対象にする契約も、直ちに無効となるわけではありません。売主は、その権利を取得して買主へ移転する義務を負います。

しかし、権利の全部が他人に属し、売主が取得して移転できない場合は、権利移転義務の不履行として扱われます。この場合、買主は債務不履行を理由に契約を解除でき、売主に帰責事由があれば損害賠償も請求できます。

権利の契約不適合がある場合に買主が請求できる救済方法

追完請求

買主は、契約どおりの権利を移転するよう売主に求められます。例えば、未移転の権利を追加で移転することなどです。売主は、買主が指定した方法と異なる方法でも、買主に不相当な負担をかけない限り追完できます。ただし、不適合が買主の帰責事由による場合、追完請求はできません。

代金減額請求

通常は、相当の期間を定めて追完を催告し、それでも追完されないときに、不適合の程度に応じた代金減額を請求できます。

もっとも、追完が不能な場合、売主が追完を拒絶する意思を明確に表示した場合、期限を過ぎると契約目的を達成できない場合、催告しても追完される見込みがないことが明らかな場合は、催告なしで請求できます。買主の帰責事由による不適合では、代金減額請求はできません。

損害賠償請求・契約解除

追完請求や代金減額請求をしても、損害賠償請求や契約解除が妨げられるわけではありません。権利の契約不適合について、買主は損害賠償請求権と契約の解除権を行使できます。

費用の償還請求

買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権、質権または抵当権があり、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、その費用を売主に請求できます。

権利の契約不適合責任に関する期間制限

種類・品質に関する契約不適合については、不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除ができなくなるのが原則です。ただし、売主が不適合を知っていた、または重大な過失によって知らなかった場合は、この制限は適用されません。

一方、権利や数量に関する不適合には、この1年以内の通知ルールは適用されず、消滅時効の一般原則が適用されます。