不動産賃借人は第三者に立ち退きを求められる?妨害停止・返還請求を解説

不動産賃借人は、不動産賃借権の対抗要件を備えている場合、第三者による妨害に対して妨害停止請求を、不動産を第三者に占有されている場合には返還請求を行えることがあります。

不動産賃借人は第三者に立ち退きを求められる?

不動産賃借人が第三者に対して賃借権を主張し、妨害停止請求や返還請求をするには、不動産賃借権の対抗要件を備えている必要があります。

第三者が不動産の占有を妨害している場合には、その第三者に対して妨害の停止を請求できます。また、第三者が不動産を占有している場合には、その第三者に対して不動産の返還を請求できます。

第三者に賃借権を主張するための対抗要件

民法上は賃借権の登記が原則

民法では、不動産の賃貸借を登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗できます。したがって、民法上の対抗要件は、不動産賃借権の登記です。

借地借家法が適用される場合

もっとも、借地借家法が適用される場合には、賃借権の登記がなくても、次の要件を備えれば第三者に対抗できます。

  • 土地の賃貸借(建物所有を目的とする借地権):その土地上に、借地権者が登記されている建物を所有していること
  • 建物の賃貸借(借家権):建物の引渡しがあったこと

土地の賃貸借と建物の賃貸借では、第三者に対抗するための要件が異なります。

妨害停止請求と返還請求の違い

第三者に占有を妨害されている場合は妨害停止請求

第三者が不動産の占有を妨害している場合には、その第三者に対して妨害の停止を請求できます。

第三者に占有されている場合は返還請求

第三者が不動産を占有している場合には、その第三者に対して不動産の返還を請求できます。

つまり、妨害停止請求は第三者に妨害をやめるよう求める請求であり、返還請求は第三者に占有している不動産の返還を求める請求です。いずれも、不動産賃借権の対抗要件を備えていることが前提となります。

妨害される前の予防請求には注意

不動産賃借人に認められているのは、妨害停止請求と返還請求です。将来の妨害を防ぐための妨害予防請求権は、認められていません。

まとめ

  • 第三者に賃借権を主張するには、不動産賃借権の対抗要件が必要です。
  • 民法上の対抗要件は、不動産賃借権の登記です。
  • 借地借家法が適用される場合、借地では登記された建物の所有、借家では建物の引渡しにより第三者に対抗できます。
  • 第三者に占有を妨害された場合は妨害停止請求、第三者に占有された場合は返還請求を行えます。
  • 妨害予防請求権は認められていません。