適法な転貸借では、転借人は賃貸人に対しても一定の義務を直接負います。特に重要なのが、賃貸人から請求を受けた場合に、転借人が賃料を賃貸人へ支払う義務です。
適法な転貸借とは?転借人が賃貸人に直接義務を負う前提
転貸借の意味
転貸借とは、賃借人が借りている物を、さらに第三者へ貸すことです。この場合、次の2つの賃貸借関係が存在します。
- 賃貸人と賃借人との賃貸借
- 賃借人と転借人との転貸借
賃借権を第三者に移して元の賃借人が契約関係から離れる「譲渡」とは異なり、転貸借では元の賃貸借を維持したまま、別の賃貸借関係が加わります。
賃貸人の承諾があることが原則
賃借人は、原則として、賃貸人の承諾なしに賃借物を転貸できません。賃貸人の承諾を得て行われた転貸借が、適法な転貸借です。無断転貸の場合には、賃貸人による契約解除などの問題が生じます。
適法な転貸借の効果:転借人は賃貸人に直接義務を負う
直接義務の内容
適法な転貸借が成立すると、転借人は、転貸借に基づく義務を賃貸人に対して直接履行する義務を負います。ただし、その範囲は、賃貸人と賃借人との元の賃貸借において、賃借人が負う義務の限度です。転貸借契約でそれを超える義務を定めても、賃貸人に対する転借人の直接義務が無制限に広がるわけではありません。
転借人は賃貸人から賃料を直接請求されることがある
たとえば、Aが所有する建物をBが賃料10万円で借り、Aの承諾を得てBがCに賃料12万円で転貸したとします。この場合、Cが転借人です。Aから請求を受けたとき、Cは、直接Aに賃料10万円を支払う義務を負います。
転借人が賃料を前払いしていても賃貸人に対抗できない
転借人が賃借人に転貸料を前払いしていたとしても、その前払いを賃貸人に主張することはできません。したがって、賃貸人から支払いを請求された場合、賃借人への前払いを理由に、賃貸人への支払いを拒むことはできません。
元の賃貸借が終了した場合、転借人との関係はどうなるか
賃貸人と賃借人の合意解除だけでは、転借人に対抗できない
賃貸人が転貸借を承諾していた場合、賃貸人と賃借人が合意して元の賃貸借を終了させても、その終了を転借人に対抗できません。承諾した転貸借と矛盾する結果を、両当事者だけの合意で転借人に及ぼすことはできないためです。
賃借人の債務不履行による解除は、転借人に対抗できる
一方、賃借人が賃料を支払わないなど、賃貸借上の義務に違反したことを理由に元の賃貸借が解除された場合、その解除は転借人にも対抗できます。特段の事情がない限り、賃貸人が転借人に通知して賃料の支払いの機会を与える必要はありません。
賃貸人が転借人に目的物の返還を請求すると、転貸借関係も終了します。
まとめ:適法な転貸借では転借人も賃貸人に直接義務を負う
- 適法な転貸借とは、賃貸人の承諾を得た転貸借である
- 転借人は、元の賃貸借における賃借人の義務の範囲内で、賃貸人に直接義務を負う
- 賃貸人から請求を受けた場合、転借人は元の賃料相当額を直接支払う
- 賃借人への賃料の前払いは、賃貸人に対抗できない
