「日本人は、どのような人権を持っているのか」「未成年者や天皇にも人権はあるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。日本国憲法は、日本国民に基本的人権を保障しています。ここでは、日本国民が人権の享有主体となる根拠と、未成年者・天皇の人権保障について解説します。
日本国民は基本的人権の享有主体
日本国憲法11条が日本国民の人権を保障している
日本国憲法11条は、国民がすべての基本的人権の享有を妨げられないと定めています。さらに、憲法が保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在および将来の国民に与えられるとしています。
この規定により、日本国民は基本的人権の享有主体、つまり人権を持つ者となります。なお、日本国民であるための要件は憲法10条により法律で定めることとされ、具体的には国籍法が定めています。
日本人が持つ人権の主な種類
日本国憲法が保障する人権には、主に次のような種類があります。
- 自由権
- 社会権
- 参政権
- 受益権
- 包括的基本権
- 法の下の平等
ただし、憲法上の個別の人権規定が法としての拘束力を持つか、また、その規定をもとに訴訟を提起できるかについては、規定によって問題となる場合があります。特に、憲法25条1項の生存権については、単なるプログラム規定なのか、法的権利を認めたものなのかについて争いがあります。
未成年者も日本国民であれば人権を持つ
未成年者も人権の享有主体
未成年者であっても、日本国民である限り基本的人権の享有主体です。未成年であることを理由に、人権そのものが否定されるわけではありません。
未成年者には一定の人権制約が認められる場合がある
もっとも、未成年者は心身の成長過程にあるため、健全な成長のために一定の制約を受ける場合があります。これをパターナリスティックな制約といいます。これは、父親が子どもに干渉するように、国家が成人するまで一定の行動を制限する考え方です。
年齢を基準として喫煙や飲酒が禁止されていることは、その一例です。重要なのは、未成年者が人権を持たないのではなく、健全な成長のために一定の制約を受ける場合があるという点です。
天皇にも人権保障は及ぶのか
天皇も人権の享有主体に含まれる
天皇も「国民」に含まれ、人権の享有主体です。ただし、天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴でもあります。その職務の特殊性などから、一定の制約を受けることがあります。
天皇の民事裁判権には特別な扱いがある
判例は、天皇が日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であることにかんがみ、天皇には民事裁判権が及ばないと判断しています(最判平成元年11月20日)。これは、天皇が人権を持たないという意味ではなく、職務の特殊性などから特別な扱いを受けるということです。
まとめ
日本国民は、憲法11条により基本的人権の享有主体です。保障される人権には、自由権、社会権、参政権、受益権、包括的基本権、法の下の平等などがあります。ただし、個別の規定が法規範性や裁判規範性を持つかについては、規定によって問題となる場合があります。未成年者も日本国民であれば人権を持ちますが、健全な成長のために一定の制約を受ける場合があります。天皇も人権の享有主体ですが、職務の特殊性などから一定の制約や特別な扱いが認められています。
